感想・レビュー・書評
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この作品は「羅生門」や「蜘蛛の糸」など名の知れた作品を代表作に持つ芥川龍之介の作品である。この作品の舞台は神奈川県横須賀市である。作者である芥川は海軍機関学校の教員として通勤していた当時、頻繁に横須賀線を利用していた。そのときの芥川の実録とされている。
この作品の登場人物は「私」と「娘」であり、「私」は芥川自身である。私が横須賀線の電車に乗っていたところ、娘が電車に乗ってきた。娘の見た目はなんともみすぼらしく、私は少々いらだっていた。トンネルへさしかかったとき、娘が電車の窓を開けたと同時に車内に黒煙が入り込んできた。私が娘に叱りつけようと思ったが、娘は外に向かって窓から鮮やかな色をした蜜柑を放った。その綺麗な情景を見て、芥川の心が動く。
短編作品ではあるが、最後の情景、私の心情の変化の描写の仕方はさすが芥川と言える。短くすぐ読めるため、気軽にまずは読んでみて欲しい。 -
蜜柑というタイトルに惹かれて呼んでみた。
終盤の小娘がとった行動に「私」と同じような心情にさせられる書き方が好きだった。 -
機関車も、機関車の窓から入ってくる煙も、奉公に出る娘も、そういうのが全てもう今や見つけることができないからこそ、ここで語られる話は昔話というか、おとぎ話みたいな夢物語としてすぅっと入ってくる。
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短いのに胸いっぱいに感情が入り込む。
蜜柑の色彩に感嘆。
芥川竜之介の作品





