一灯 [青空文庫]

  • 青空文庫
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感想・レビュー・書評

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  • 成績のことで怒られていた学生時代の太宰と、天皇誕生に沸く街の様子をからめて描いた作品。

    時代を感じました。
    皆がこんなふうに諸手を挙げてよろこぶことうれしさを、わたしは経験したことがありません。

    天皇のあり方も、天皇への心持ちも変化したいまとなっては、記録映画のような視点で興味深く読んだ作品です。

  • 『あのように純一な、こだわらず、蒼穹にもとどく程の全国民の歓喜と感謝の声を聞く事は、これからは、なかなかむずかしいだろうと思われる。願わくは、いま一度。誰に言われずとも、しばらくは、辛抱せずばなるまい。』

    確かに太宰の言う通り、皇太子殿下の御誕生に街いっぱいが笑顔になって、「やあ、おめでとう!」なんて言い合ってほかはどうでも良くなるようなことは、ないのかもしれませんね。天皇の尊厳に対しての世間の捉え方も、この小説が書かれた当時とはだいぶ差異があるように感じますし……。そういう意味では何度も名状しがたい気持ちになりますが、話は明るくてこちらも「バンザイ」と言ってみたくなるので、好きです。冒頭──『芸術家というものは、つくづく困った種族である。鳥籠一つを、必死にかかえて、うろうろしている。その鳥籠を取りあげられたら、彼は舌を噛んで死ぬだろう。なるべくなら、取りあげないで、ほしいのである。』──からの太宰の決意を感じる文章も、心に残りました。

  • 天皇誕生日に実質再読。
    みんなが喜んでいる赤子が今日誕生日を迎えた今の天皇なんだよなあ……。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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