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感想・レビュー・書評
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成績のことで怒られていた学生時代の太宰と、天皇誕生に沸く街の様子をからめて描いた作品。
時代を感じました。
皆がこんなふうに諸手を挙げてよろこぶことうれしさを、わたしは経験したことがありません。
天皇のあり方も、天皇への心持ちも変化したいまとなっては、記録映画のような視点で興味深く読んだ作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『あのように純一な、こだわらず、蒼穹にもとどく程の全国民の歓喜と感謝の声を聞く事は、これからは、なかなかむずかしいだろうと思われる。願わくは、いま一度。誰に言われずとも、しばらくは、辛抱せずばなるまい。』
確かに太宰の言う通り、皇太子殿下の御誕生に街いっぱいが笑顔になって、「やあ、おめでとう!」なんて言い合ってほかはどうでも良くなるようなことは、ないのかもしれませんね。天皇の尊厳に対しての世間の捉え方も、この小説が書かれた当時とはだいぶ差異があるように感じますし……。そういう意味では何度も名状しがたい気持ちになりますが、話は明るくてこちらも「バンザイ」と言ってみたくなるので、好きです。冒頭──『芸術家というものは、つくづく困った種族である。鳥籠一つを、必死にかかえて、うろうろしている。その鳥籠を取りあげられたら、彼は舌を噛んで死ぬだろう。なるべくなら、取りあげないで、ほしいのである。』──からの太宰の決意を感じる文章も、心に残りました。
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天皇誕生日に実質再読。
みんなが喜んでいる赤子が今日誕生日を迎えた今の天皇なんだよなあ……。