銀河鉄道の夜 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  •  天沢退二郎説で、舞台は「南欧イタリア」らしい。

    「氷山にぶっつかって」沈んだ船がどうたらの人、「タダシ」とその姉が「きくよ」「かおる」と言ふのはいいとして、ジョバンニが、家に上がる時「靴を脱いで」ゐるとか。烏瓜でランタン灯すってのもなんだかなー。

     ただ、
    「ケンタウルス、露を降らせ」
     の関係は、地元の文化を観察する健全なナショナリスムが健全に外国の文物を消化吸収してアウトプットしてゐる感がある。制作当時の東日本では「駄獣=馬」と、祈雨儀礼で使はれる聖獣が馬であったとかが諸文献で得られる情報であるが、さう言ふのがちゃんとほの見える上に、石田英一郎『河童駒引考』では、南欧辺りでも或いはコロラド、コンネクティカットは若干無理でもランカシャイアの辺はさう言ふ、人と馬との関係があったらしいし。

    ここでの「ほんたうのさいはひ」はキリスト教をベースに追ひ求められるので、サソリも天上へ行き、ハルレヤが唱へられる。有難くていいけど、この辺に関して大東亜戦争の特攻への影響がどうたら説を見た後では、うーん。さういへば「ラッコの上着」はクラスメイトからのいやみとして登場するが、ザウエルと言ふ犬は別にただ出て来るだけであるな。

     冒頭、授業の辺りで牛乳と天の川(galaxyのGalaがギリシャ語の乳汁) をパラフレーズする、と言ふ台詞 この作者はキテる感じがする。完全に理に適った説明であるにも拘らず、宮澤賢治大先生は危ない薬でもキメてるんぢゃねえか感が。

     カムパネルラのパパが、息子に対して異常に冷徹であるのに関してどっかでなんぞの分析がされてた筈。

  • 今年ロボット演劇「銀河鉄道の夜」を見て再読したいと思っていたので、なんとか今年中に読めた。
    独特の音の表し方、それでも、なんとなく分かるような気もするのが凄い。

  • 流れるような文体に美しい描写。淀みなく流れる文章は、まさに銀河。天の川そのもの。
    易しい言葉のようで、実は優しい言葉でもある。その文章が好きだった。

    自分が犠牲になっても、周りが幸せであれーーー

    恥ずかしながら内容をほとんど知らなかったため、氷山の話にさしかかったときに冷やっとした。こんな悲しい旋律が、銀河に隠されていたなんて。

    主題ははっきりとは掴めなかった。

    でも、死を見つめながら生きることをジョバンニをとおして描いているのではないだろうか。

    お父さんが今夜はありがとう、とジョバンニに言ったこと。僻み気味で自分中心だったジョバンニの心に何か変化を与えたに違いない。

    あと印象的だったのが、ジョバンニだけ、特別な切符だったこと…。その時点で、もう決まっていたのだよね…。

    切なく、けれども美しい物語。

  • 新潮文庫の「新編 銀河鉄道の夜」に収録されてる
    ものをまとめて読んだ中での一篇。

    この話自体は再読。

    判読できない文字があったり、ページが抜けていたり…
    それでも作品として成り立ってしまうのが凄いことかと。
    子供の頃に観た登場人物たちがネコの映画を観ているから、
    どうしてもイメージはそうなってしまう。

  • 読み終えて、えも言われぬ感覚に襲われる一冊。
    初めから終わりまで、宮沢賢治ワールドに翻弄されました。
    もう一度読みたい、読んだらもう少し分かるかなという雰囲気です。

著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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