感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
多分この事務所は有能で、書くぬこ様から便利に使はれ、かつ信用もあった筈である。そんな感じである。
そしてその信用を勝ち取りうる偉い事務所の職員は、ど畜生であった。(猫だし)
宮沢賢治先生の、肉食獣嫌ひと、
二次消費者=悪
にしないソレは、いい感じで人の胸を打つ方向へお話を持っていく。
トバスキーとかゲンゾスキ―って人間ぽいなぁとか思った。 -
新潮文庫の「新編 銀河鉄道の夜」に収録されてる
ものをまとめて読んだ中での一篇。
簡単なコメントで。
まとめて読んだ作品群の中ではこれが一番好き。
そしてとても悲しい。 -
私は「猫の事務所」を読み、この本は猫だけでなく人間などの動物の社会関係を風刺しているのではないかと思いました。
この本は猫同士のいじめの様子が描かれています。実際、猫同士でもエサやおもちゃの所有権の争いがいじめにつながるなど、また人間社会に上下関係があるように、猫社会にも上下関係があるため、弱い立場の猫はいじめにあいやすいようです。この「猫の事務所」の場合は、事務所の中で一番立場の低い、真っ黒ですみのついている、ほかの猫とは少し違うかま猫がいじめの標的になっています。
特にこの事務所内でのいじめは、特に序列が原因になっているようです。
引用【事務所の書記になるだけでも厳しい競争に勝ち抜かねばならないのに、大勢の中から書記として選ばれても、かま猫のように書記の最下位である四番書記は、序列化された組織の中では最下位に位置づけられる。事務所の中で第一書記から第四書記という地位による階級制度によるヒエラルキーが築かれている以上、序列階級から逃れることはできない。社会的な階層および地位の階級制度の最下層に位置する者はいじめの格好の対象として見做される。四番書記は事務所の階級制度の中では弱い立場である。猫社会と事務所における二重のヒエラルキーは、下層者を生み出して、いじめの温床をつくり出すのである。】
このようなことは、人間社会でもよくあることです。例えば、職場でのいじめです。入社してきたばかりの新入社員を上司がいじめる、仕事を覚えることが遅い人を責め立てる、など理由は様々ですが、こういったいじめが原因で仕事を辞める、かま猫のように毎日悩み、苦しむ、また最悪の場合自殺をする人もいるでしょう。こういった、弱いものをいじめることで自分自身の存在意義を確認しようとする人間の悪いところを風刺しているのではないかと思います。
そして、私は最後の『ぼくは半分獅子に同感です。』に疑問を持ちました。半分は同感しているが、なぜ半分は同感していないのか。
引用【「猫の事務所」の「ぼく」はかま猫のいじめ問題を通して、かま猫がいじめられる根本的な問題に向き合い、問題解決に向けて行動していたら、最悪の事態は避けられていた可能性を示唆している。「ぼく」は問題解決に向けて自ら考え行動することの大切さを語っているのである。】
最後にこういった読み手が疑問を持つような一文にすることで読み手にこの一文の意味を考えさせようとしていたのかもしれません。 -
『猫の事務所』は、宮沢賢治先生の書かれた作品の中で、一番初めに読んだ作品です。当時使っていた小学校の教科書に、この作品が載せられており、授業でも扱われました。この時に、宮沢賢治先生のことについて知りました。そのころの私は、この作品を読んで、この事務所に働く猫たちは、それぞれに役割が与えられ、必死に働いているお話なんだなと思いました。しかし、読み進めていくうちに、事務所で働いている猫の一匹である「かま猫」は、見た目だけで他の猫たちからいじめられており、その姿を見て、これは学校によくある「いじめ」について描写されている作品だと思いました。しかし、改めてこの作品を読んで、これは学校だけでなく、他の人間社会の「いじめ」についても、描写がされている作品でもあることを知りました。この作品は、現在だけでなく、過去にも「いじめ」があることと、「いじめ」は、学校だけでなく、他の人間社会にもよく起こる出来事であることを、この作品では猫の姿に例えて書かれています。この作品は主に「いじめ」のことについて書かれており、出版されたのは何十年も前のことなので、過去にも「いじめ」が存在していることがわかります。自分は、過去にも「いじめ」が存在していることを、この作品を改めて読むまで気付きませんでした。現在でも起こっているような出来事は、当たり前になると、あまり意識しなくなってしまうのだなと考えた。この作品を読んだあと、今までを振り返り、「いじめ」は学校で起こる問題だけでなく、職場や家など、子供だけでなく、大人も集まってくる場所でも起こることを思い出しました。漫画、小説、ドラマや映画でも、学校以外の場所を舞台に、「いじめ」のことについて書かれていました。そこで起こっている「いじめ」の手段や原因は、学校と似たような手段で行われていますが、原因は起こる場所によって違っています。このように見ると、「いじめ」は社会全体の問題で、簡単には解決できないことであることがわかります。このような文学作品は、ただ中身の内容を読んで、その世界観を楽しむだけでなく、現実でも起こっている問題について、読者に考えさせるように書かれています。こうして考えると、本を読むことは、一種の社会勉強なのかもしれません。また、この『猫の事務所』の終わり方は、読者にその後の続きを自分で考えさせるように書かれていますので、自分なりの考えることができます。
-
青空文庫の電子版で読了。
猫が登場人物として擬人化されている。
性格も色も違う猫たちが事務所で働いているのだけれど、かま猫がさげすまれ、うとまれていく様子が切ない。
人間の妬みやいらだちが表現されていると思う。 -
宮沢賢治は、大人になっても読む大人
の文学と知った。
著者プロフィール
宮沢賢治の作品





