悟浄歎異 ―沙門悟浄の手記― [青空文庫]

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  • 中野美代子西遊記ものに導かれ。沙悟浄の目からみた孫悟空、三蔵法師、猪八戒。悟空の力の強さ、己の命を顧みない所、三蔵法師の弱さとそれでも孫悟空、猪八戒、沙悟浄をひきつけてやまない魅力、猪八戒の世の楽しみを楽しみつくそうとする姿勢に感嘆。悟空と三蔵法師の共通点を、生き方において所与を必然、必然を完全と考えていること。その必然を自由と見做していること、と気がつく。三蔵法師はいつも永遠を見ている、数々の善きものの上に絶えずじっと憐れみの眼差しをそそいでいる、と考えた。

  • なんかどうやって生きていけばより良い行き方ができるのか、みたいな話になってるし。孫悟空はまさに主人公っぽいじゃないか。なんかちょっとためになる元気になるお話。

  •  沙悟浄を主人公にするという発想も面白いし、描かれている内容も面白い。
     下手すれば二番煎じのパロディやお笑いになってしまいかねないテーマですが、本作品はなかなか深く考えさせられます。
     よく考えれば、私も沙悟浄のような頭の中で無駄に考えてばかりで行動が伴わないタイプなのだった。
     もっと若い時代に読んでおきたかった。 
     中島敦の『わが西遊記』、完成して頂きたかった。読みたかった。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170417/p1

  • 『悟浄出世』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/7/002521のその後。
    頭でっかちで動けない悟浄からみた仲間3人の分析。
    ネガティブにしてぐだぐだな考察独り語り。

    ああなんか、うん、そういう感じ。
    清廉な師匠への軽蔑と尊敬、まじりけなしのヒーロータイプな悟空に対する憧れと劣等感、単純なだけでない八戒への警戒と信頼、とか。
    並はずれた人たちのそばにいてあくまで秀才どまりの努力家の、卑屈な自負に先日読んだ『駆け込み訴え』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/B009IX8IZ4を連想した。

    この鬱陶しさスキスキ。

  • 悟浄から見た西遊記。
    悟空への憧れ、三蔵への敬愛の原因究明、八戒への憧れ。
    そして、何も特徴のない、行動の情熱を持たない自分への叱咤。

    夜の星を見ながら考える。
    彼は、三蔵の一番の理解者なのかもしれない。悟りに、近い男。

  • 冒頭の「竜に変化しようとする!」やりとりが、いきいきとしていて好き。思索的な沙悟浄……ほんと、三者三様だねぇー。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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