狐憑 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 旧字旧仮名
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レビュー : 4
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感想・レビュー・書評

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  • 「光と風と夢」の直後に読んだので、その落差にくらくらきた。


    語り部がひたすら書き続けながらも他方現実と格闘し、その行動を尊ばれる話(「光と風と夢」)と、語りしかしなかった穀潰しとして食らわれるこの話。よく考えればコインの表と裏なのかも知れないけれど。

  •  彼は生まれる時期を間違えたのか……?
     小説家は妄想家と紙一重な存在かも知れないし、そういわせるのは社会の所為にあると思った。小説家という仕事がなければ、ただの働かざる虚言癖を持つ廃人と呼ばれていたかもしれない。社会が作り出す病とリンクするかも。

  • 水上生活を営む部族の男シャクに憑きものがした。他部族との戦で喪った弟が憑いたのだろうと当初は思われていたが、そのうち鳥や獣や他人のことなどを語るようになり評判を呼ぶ。やがて本人も周囲も、実はシャク自身が考えて喋っているのだろうと気付くが、それも一種の憑きものなのだろうということになる。そうして暫く暮らしていたが、シャクは次第に何も語らなくなり、そうかといって働くでもなく、予てから彼を面白く思っていなかった部落の有力者達は、占い師を買収してまでシャクを『処分』する。彼は食料として大鍋で煮られて喰われ、骨は湖に捨てられる。そういう話。色鮮やかに情景が見えるようで、文章が『活きている』と感じる。ラストが衝撃的過ぎてビックリしたが、何だか好きな話。

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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