狐憑 [青空文庫]

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  • 青空文庫
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  • 水上生活を営む部族の男シャクに憑きものがした。他部族との戦で喪った弟が憑いたのだろうと当初は思われていたが、そのうち鳥や獣や他人のことなどを語るようになり評判を呼ぶ。やがて本人も周囲も、実はシャク自身が考えて喋っているのだろうと気付くが、それも一種の憑きものなのだろうということになる。そうして暫く暮らしていたが、シャクは次第に何も語らなくなり、そうかといって働くでもなく、予てから彼を面白く思っていなかった部落の有力者達は、占い師を買収してまでシャクを『処分』する。彼は食料として大鍋で煮られて喰われ、骨は湖に捨てられる。そういう話。色鮮やかに情景が見えるようで、文章が『活きている』と感じる。ラストが衝撃的過ぎてビックリしたが、何だか好きな話。

著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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