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感想・レビュー・書評
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作品データ
分類: NDC 913
初出: 「文学界」(「古譚」の題で)
作品について:「文字禍」
1942(昭和17)年2月
備考: この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫)
中島敦の不思議な話、古代の情景が浮かんでくるようです。
デビュー作のひとつとあります
アッシリアの非道なアシュル・バニ・アパル大王が、図書館でうごめく、文字の霊。
その未知なる精霊の調査を命じられた老博士ナブ・アヘ・エリバ
かくして、博士と粘土板でできた本の精霊との対話が始まった。
文字を知ること、それは、古代のおいては、柔弱となるということだった
本の精霊に魅入られた、老博士ナブ・アヘ・エリバの運命とは……
底本データ
底本: ちくま日本文学全集 中島敦
出版社: ちくま文庫、筑摩書房
初版発行日: 1992(平成4)年7月20日
入力に使用: 1996(平成8)年4月20日第3刷
底本の親本: 中島敦全集 第一巻
出版社: 筑摩書房
初版発行日: 1987(昭和62)年9月
A4にて、9枚相当
作家データ
分類: 著者
作家名: 中島 敦
作家名読み: なかじま あつし
ローマ字表記: Nakajima, Atsushi
生年: 1909-05-05
没年: 1942-12-04
人物について: 東京市四谷区箪笥町生まれ。1942年『文学界』に「古譚」の名で「山月記」と「文字禍」が掲載され、「光と風と夢」で芥川賞候補になり活躍が期待されたが、持病の喘息が悪化し同年12月4日死去。遺稿「李陵」「弟子」が発表され、類まれな才知の早世が惜しまれた。
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11月前半のブンゴウメールにて読みました。
面白かったです。
文字についてとことん考えると、確かによくわからなくなります。そのものを見ないで、影を見ているのかも…と。
書き残されなかったことは、無かったこと。ううむ、と思いました。 -
ある意味正鵠を射たニヒリズムに苦悩とシンセリティを感じる。
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以前読んだ『反歴史論』でとりあげられていた。歴史とはあったことなのか?書かれたことなのか?はとても探究し甲斐のあるテーマだ。
学校で教えてくれるのは「書かれた歴史」だ。では書かれなかったものは歴史ではないのか?でも確かに存在しているその書かれなかったものはいったい何なのか。問いが次から次へと湧いてやまない。
そして、もう一つのテーマである「文字」もまた面白いテーマだ。池田晶子氏も述べていたが、人間は言葉を操っていない。言葉によって人間が使われている、そんな気がしてならなくなる。
これほど様々なことを考えさせてくれる作品に、明確な答えを出さず終結させた筆者に感謝したい。