山月記 [青空文庫]

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  • 青空文庫
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感想・レビュー・書評

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  • 高校の教科書にあったので、再読。
    あの頃は単なる学習の一環として読んでいたが、ある程度「年をとったな」と思う年齢になってから読み返すと、自分の中にも「虎」がいたのだと改めて気づかされる。
    耳の痛い話である。

  • 能力がありながら、人間関係を重視せず、さらに努力も足りなかったことが理由で、大成できずにトラに落ちぶれた者を描いている。中国が舞台。耳が痛い話である。こういった戒めの話は日本人には受け入れられやすい。しかし、昨今の日本人に必要なのは、むしろ、だまされない警戒心を磨くことだろう。日本人の多くは妨害されてもそのことが見破れない。デマに対する警戒心が薄いからだ。この主人公は大変人間的にも優れていたにもかかわらず、様々なデマと妨害により人間関係が壊された被害者なのかもしれない。特に複数犯による口車を合わせた妨害デマのときは、本人さえ妨害されていることに気づかないこともあるだろう。演出して作られた事実を本当の事実と思わされてしまうケースだ。第三者ならなおさらである。そういった陰謀に対する耐性や警戒心も必要なのだが、それが欠如しているのが日本である。だから、悪人は陰謀し放題。まずばれないのだから。イジメや足の引っ張りが絶えないのもここに大きな理由があるだろう。イジメもまずばれないし、第三者も証拠がないと関わらないのだから、イジメの疑いがあるときにいじめっこに釘を差すという発想さえも出てこない。そういった点をよくよく考えないといけない時期に日本はさしかかっているのだろう。

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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