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感想・レビュー・書評
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森鴎外は教科書に出てくるレベルの文豪なので、評価とかおこがましくてできないけど、その教科書を読んだ時から、小説って言うより観察日誌みたいよねと思っていました。周囲を見て導き出される結論みたいな。物語とか、お話というより……。こうでこうでこうであった。それによりこうである。みたいな感じがする。
一文飛ばして読むとアレッてなっちゃうのよね。
ヰタ・セクスアリスは哲学者 金井湛が文学作品中の性描写に疑問を持って、自身の子に教えると仮定して自身の性の歴史を紡いだもの。嫌悪も不快も不安もそのときどきで感じているが、親友と記した二人とはどこか愛しく楽しそう。全体がわりとカッチリまじめな文章だから、そういうのが浮き彫りになるなとおもいました。
あと風俗文化もおもしろかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
“VITA SEXUALIS”
「ヰタ・せクスアリス」。
日本語訳すると「性欲的生活」。
文豪と言われる森鴎外が描く性欲的生活なんて
どんな物語なんだろう?!と思っていたけど、
ある意味期待外れで、ある意味期待以上の作品。
期待外れというのは、
「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「恋文の技術」などの
森見登美彦作品の童貞男子が悶々とするような展開かな?
と思っていたので、見事にそうではない作品だったから。
そして発表当時は発禁処分になったらしいが、
今の時代からすると性欲的生活とは言うけれど、
中身はだいぶ大人しいなとは思ってしまったから。
期待以上だったのはその面白さ。
童貞男子が悶々とするお話ではなく、性への目覚めから
童貞卒業までを淡々と描いてるところが面白かった。
子どもがいるような年齢から、当時を振り返ることで
こんなに冷静になれるのか!と。
物語のテンポも良く、短いのもあって一気に読んでしまった。
この作品の主人公、外見容姿がよろしくないとの設定の
ようだけど、絶対にそんなことないと思われます。