変な音 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 3
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  • この作品はまず、主人公が入院している病室で妙な音を耳にするところから始まる。それは山葵おろしで大根を擦っているようなごそごそという音である。その音は静かな病室に響き渡り、妙に気になった。病室の一枚の仕切りの向こう側から鳴っており、そこを開けさえすれば音の正体が分かるのだが、他人に対してそのような無礼はできないと何もできずにいた。隣の病人は何日かするといつの間にか出て行ってしまい、すぐに新しい患者が入り、音の正体はわからないままになってしまった。そのうち音の正体も気にならなくなってしまい、病院を退院することになった。
     三ヶ月ばかりすると違う病室ではあるが、また同じ病院に入院することになった。
    隣の部屋には誰も入っていなかった。そのときは前に入院していた時の音のことはすっかり忘れていた。この病院には一等の病人が三人おり、一人は退院し、二人は亡くなった。
    ある日、前に入院した時の隣の病室の患者の担当の看護師と知り合い、音の正体について聞いた。それは胡瓜を大根おろしで擦っている音であった。その病室にいた男は病院を退院してすぐ亡くなっていた。
     この作品は最後に病気がよくなって退院した患者が聞いていた音と、病気でなくなった患者が聞いていた音を最後に比較し、作者がその患者のことを考えて終わる。他にも、病気で入院していた患者について少し触れていたりする。音でその入院していた患者の感情を表現していたのではないかと私は思った。

  •  実質再読なような気がする。
     奇妙な音の正体が分かったときに、その人が最期のわがままだったのかなと今まで思っていたけれど、最後の文章をよく読んでみて印象が今回ガラッと変わった。きゅうりの音と革砥の音、生死の対比。双方が「変な音」と思ったかもしれないけれど、相手は悪化し、自分は快方に向かっている。

  • 生と死と、その間に変な音。
    病院のベッドの上だからこそ、ささやかな音でも気になるのだろう。
    変な音の正体を知らぬ仕舞いになってしまった人が、なんとなく気の毒なような。。。
    リアルな手触り(耳ざわり?)の有る小説だった。

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著者プロフィール

夏目漱石
小説家・英文学者。1967年(慶応3年)東京生まれ。帝国大学を卒業後、教師となる。1900年(明治33年)にイギリスに留学し、帰国後の1905年(明治38年)に処女小説『吾輩は猫である』を発表。1907年(明治40年)に新聞社に入社し、以降職業作家として活躍した。1916年(大正5年)に胃潰瘍により死去。享年50才。代表作に『坊ちゃん』『三四郎』『こゝろ』『明暗』などがある。

「2022年 『夢十夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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