草枕 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 8
  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • はっきりとは覚えていないのですが、中学時代か高校時代のどちらかの頃に先生のおすすめで、有名な冒頭部(書き出し)の『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。』の部分は聞いたことがあり、せっかくなので読んでみようとしましたが、夏目漱石の他の作品に比べて内容が難しく、当時は理解できませんでした。数年たった今再読してみてもやっぱり難しかったです。
    まず個人的にはあまり小説感がなかったように感じました。
    【文章について】
    主に夏目漱石の芸術観を述べた文章で、小説というよりは主人公が画家であるということに焦点を当てた、どちらかといえば美術的な印象を受けました。
    また、古典的な言葉遣いや普段あまり使わないような言葉が多かったためさらに難しく感じ、通常の小説よりも読むのに時間がかかりました。しかしそういったところに夏目漱石の豊かな語彙を感じられて圧倒されました。普段使わないような言葉だからこそ面白くて、より興味深かったです。
    『草枕』は漢語の詩句が多く引用されていたり、上にも記したように古典的だったり普段使わないような言葉遣いが使用されていたりと、決して読みやすいとは言えない文体でしたが、同時に文学的な美しさを感じる文章だなと思いました。
    【人物について】
    ネガティブな印象を受ける冒頭部に対して、那美のミステリアスではっきりものを言ところ、主人公も彼女の振る舞いに戸惑いを見せる場面はありつつも動じないところは人間味があって魅力的でした。
    【全体について】
    主人公が、というよりは夏目漱石によって語られたような芸術観が、面白味を感じるわけでもなく、かといって哲学的な堅苦しさを感じるわけでもない、そんな雰囲気とあいまって不思議な気分になる作品でした。
    そして今回再読してみての全体を通しての感想は、「非人情」とは何かを問いかけられているような小説だなと感じました。特に最後の方にはそれを強く感じました。ここでいう『非人情』は薄情であるという意味ではなく、今の日常から離れる、というような意味だと思いました。私は初めて読んだとき、冒頭部の『意地を通せば窮屈だ。』という箇所に共感しました。意地を通すことさえままならない世の中の不条理を描いたような作品でした。
    数年後には今とは異なる価値観や視点から、より理解を深められるのではと思うので、機会があれば数年後に再読してみようと思いました。

  • 草枕は「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」という作品の中でも特に有名な一文から始まる。
    つまり、簡潔にまとめると現代を生きる私たちにも通じるような人間関係のストレスを的確に表した文章である。
    また、「非人情の天地に逍遥したい」という一文がある。意味としては「煩わしい人間関係を離れて心穏やかになりたい」と読み取れる。草枕ではこの「非人情」という言葉が大きなテーマとなっている。
    この小説は漢文調のよう書き方や俳句的な文体で書かれているため、かなり読むのに苦戦し、難しく感じた。
    だが、実際に読み込むことで言葉を巡り合わせながら、風景を想像して味わうことが出来る場面も多くある。「自然を見るとき、心が安らぐのはこの景色を一幅の画として観、一巻の詩として読むからだ」という一文がある。要するに自然を見るときの人間の心境は芸術を鑑賞する心境と類似しており、自身の利害を離れて、心は平穏を保つという意味合いを持つ。
    まさに、読者が風景を想像することが心に平穏をもたらし、草枕が面白いと感じる一つの要素ではないか。
    単語一つ一つの言葉選びや、リズムの良い文章体、夏目漱石の持つ芸術の考え、西洋と日本の世の中の在り方に関する考えなどは夏目漱石の内面が非常によく表れていると思われる。
    夏目漱石が表す草枕の世界観は私たちに親近感を持たせつつも新鮮な感情を生まれさせるような作品であった・

  • 私は本を読むことが少なかったのですが、大学の授業をきっかけに草枕を読むことにしました。今まで読んだ本の作家で面白いと思ったのが夏目漱石の「坊っちゃん」だったので同じ作家から草枕を選んだ。

    この作品は「那古井温泉」(熊本県玉名市小天温泉がモデル)を舞台に、作者・漱石の言う「非人情」の世界を描いた作品であり、時代背景は日露戦争の時30歳だった主人公の話です。熊本で英語教師をしていた漱石は、1897年(明治30年)の大晦日に、友人であった山川信次郎とともに熊本の小天温泉に出かけ、そのときの体験をもとに『草枕』を執筆した。(Wikipediaから引用)冒頭の「知に働けば角が立つ。情に棹させば流れる。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」で有名な作品。

    これを読んでみて私が思ったことは他の作品より難しいと感じた。文章中に漢詩や和の表現、西洋の表現などいろんな方法で旅したときに感じたことを表現している。なので、注釈などを使いながら読んでいても、私は完全に理解できた感じはしなかった。読むのに時間がかかる作品だった。主人公は画工(画家)で絵や詩、俳句など広く芸術について語る。芸術論の中には文学に対する考えも含まれていて、漱石の広範な芸術への知識には驚くばかりでこの作品の言おうとする所は正直いってよくわからなかったが、旅の途中で感じた情景は美しいもので読んでいて想像しやすかった。

    私が印象に残ったのは始まりの一文からして、世の中の生きづらさを語っており、非人情といった言葉に重みを感じたことである。この作品では人情や俗界を離れ、自然のように外界をただ芸術として観賞することが書かれている。

    「しばらくこの旅中に起る出来事と、旅中に出逢う人間を能の仕組みと能役者の所作に見立てたらどうだろう。芭蕉という男は枕元へ馬が尿するのをさえ雅な事と見立てて発句にした。余もこれから逢う人物をー百姓も、町人も、村役場の書記も、爺さんも婆さんもーことごとく大自然の点景として描き出されたものと仮定して取りこなしてみよう。」

    このように「草枕」で描く旅中においては、そこで出逢う人物とのやり取りを、けっして「人情」を感じさせるものにしないように、作中の主人公が振る舞う。こういう場面が印象的だった。

    私はこの本を夏目漱石が好きな人や随所に挟まれてゆく芸術論・文学論や人生論、さらには漱石自作の俳句や漢詩などに触れたい人などにおすすめしたいと思う。

  • 古いけど新しいというか、冒頭の文章があまりにも有名なので読んでみたら思わず引き込まれた。

    森見登美彦さんとかが好きならきっと漱石も好き。
    頭が良すぎて石頭で理屈っぽい。なのに何の行動も起こさない主人公に「オイ!」と突っ込みを入れたくなった。

    この主人公自分で絵描きだと言って道具を持ってふらふらとしているもののまったく描こうとしない。何故ならあれが気に入らぬこれが気に入らぬと理屈ばかりこねる。

    これただのニートじゃん。
    というかこの時代だと高等遊民?いい身分だね~。

    出戻りの那美さんは計り知れぬ可能性の持ち主。
    大体あの時代の女の人が泊り客をからかうために風呂場に裸で現れるか?作中では「キチガイ」と呼ばれるが、今の時代なら酔っ払いか、よっぽど主人公を気に入ったかどっちかだろう。

    ふらふらと立ち寄った宿でいろんな人に出会い、最後は知り合った人の出征を見送るまでなのだけれど、なかなか内容は濃かった。

    っていうかこれ書いたとき漱石さんストレス溜まってたんだろうね。その憂さ晴らしに書いたような気もする。邪推かもしれないけど。

    そこがまた面白いのかな。

  • 冒頭があまりにも有名。

  • 一章ごとに場面が変わり、きちんと理解できたが疑わしいが、筆者の芸術感に触れた気がして面白かった

  • LibriVox に録音をアップロードしました。
    https://librivox.org/kusamakura-by-soseki-natsume/
    録音時間 04:27:35
    聴いて下さい。

  • 仕事帰りに会社から駅までのバスで、座ることができた場合のみ、
    青空文庫で夏目漱石を年代順に読んでいる。
    1日長くて15分ほど。
    細切れに読んでいるのと、自分の教養の無さから、中盤読み進めるのが辛かった。
    終盤だいぶ読み慣れてきた感じとともに読了。
    他の作品を一通り読み終えたら、もう一度挑戦してみたい。

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著者プロフィール

夏目漱石(1867~1916)
小説家、評論家、英文学者、俳人。本名は夏目金之助。明治末期から大正初期にかけて活躍した。近代日本文学の頂点に立つ作家の一人。代表作は『坊っちゃん』『三四郎』『こゝろ』『明暗』など。『吾輩は猫である』は、『ホトトギス』に連載され人気を博した。その批評精神とユーモア感覚は、現代も全く古びていない。

「2021年 『大活字本 吾輩は猫である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夏目漱石の作品

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