夢十夜 [青空文庫]

  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想・レビュー・書評

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  • 昨夜、なかなか眠れないから読んでみた。僕もこんな文学的な夢を見たいなと思いながら読んでいたら、ちょうど十夜あたりで眠たくなって、ぐっすりと眠ることができた。

  • 基本的に全10夜、死にまつわる話。美しい話もあれば不気味な話もあるし、ユーモラスなものまである。
    漱石先生の過不足なく話をまとめるところは本当にすごいと思う。

  • 10話の夢の話を淡々とされる。夢の話なので「ここからどうなる?」というところで終わったりする。半分は最初に「夢の話だとわかる描写」がないが、それでも内容は不思議な話なのでこれも夢の話なのだろうと判断する。けど、最後のほうはどうだろう。

    第一夜、第三夜、第五夜が面白かった。内容のわかりやすさ・状況の想像しやすさ・綺麗な落ち方もある。

  • 自分はオムニバス形式の話が大変好きなため、この作品を久方ぶりに読み返してみようと思い読み進めたが、やはり漱石の描写の美しさには溜息が漏れる。漏れ出るような景色の美しさが目に浮かぶようだ。緻密で繊細で、心情を表す描写の細やかさには毎度のことながら脱帽である。
    夢十夜は、「こんな夢を見た」という書き出しから始まるのが良い。「夢」というのを先に記すことによって、その後に続く出来事の美しさや虚脱感などの感情がより露わにされている。十話収録されている短編集だが、その中に含まれる虚脱感を後味とする作品たちはこの「こんな夢を見た」という書き出しによってよりその後味が深められている。また、朧げな結末を結ぶ作品においてもこの「こんな夢を見た」という書き出しはスタートから美しく、終わりの柔らかさや描写に磨きがかかっているように感じる。
    自分は中でも第一夜と第七夜が特段好きだ。第一夜は真珠で穴を掘り、星の欠片を墓の標とするのがこれまた美しい。星の欠片を墓の標とした男に対し、「百合」になって再び巡り合うというシチュエーションの耽美さ、夜明けの柔らかさには本当に溜息が漏れる。その表現の美しさ、切り取る憧憬の美しさが私を虜にするもので、以前読んだ時もこの話が一等好きだと感じていた。また、第四夜のどこか怪談じみた、薄暗さのあるオチも面白い。第七夜の水底に落ちていくまでのさま、海上で星を眺める行為そのものが好きだ。「無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った。」という終わりを結んでいるのも良く、満ち足りた終わりではないところが第一夜の悟りと対照的で惹かれるものがある。自分も夜に船へ乗り空を眺めたことがあるが、どこを進んでいるか分からない感覚は強く理解できるものだ。このまま落ちても誰も気づかない、といったある種の恐怖を思い起こし、この男を隣人のように感じてしまうものであった。
    総じて素晴らしい作品であり、今後再び読み返してみようと考えている。読み易く、漱石の他の作品も改めて読んでみたいと思う切っ掛けになる作品だ。

  • よく分からない話だった。
    夢の話っぽく、面白いのもあったがつまらないと言うかよく分からないものが多かった。

  •  現在では使われない言い回しが非常に多く、語彙の勉強になった。
     第三夜の辻褄があっていなくても何故か心が納得してしまう様は、上手く夢の世界を表現していてまるで自分も夢を見ているかのように感じた。

     しかし、私はこの作品全体から夏目漱石が何を伝えたいのかが分からなかった。第一夜から第九夜までに内包された共通の意味がありそれが第十夜で明かされるのかと思ったがそういうわけでもなく、それぞれの夢は独立したものであるようだ。これでは各夜の数字を入れ替えても成立してしまうのではないか。
     美しい文章、たくみな言い回しを表現する上で何をやっても許される夢という舞台は万能で都合がいいのだろうが、個人的には好きではない。
     

  • 名作朗読CDで耳にしたのがきっかけ。

    夢の世界だけあって、どこかふわふわして、どこか不気味で。
    本当に夢の中で見たものを描き出したのかと思うほど。
    言葉遣いも勉強になる点が多く、あっという間に読み終えてしまう作品。

  • 第一夜が気になって読んでみました。
    夢特有の訳の分からなさがリアルでした。
    実際に漱石が見た夢なのか気になります。

  • 中学生の頃に運慶の話を読んだが,そういえばそれ以外の話はどんなだっけか? と思い,KIndle 購入を期に読んでみた。ふわふわした話がほとんど (夢の話だから?) で良く分からないものも多いが,しばらく Kindle に置いておこうと思う。

  • 青空文庫のアプリを携帯に入れたので早速。
    夢の断片を描いたような十編の物語。突然始まって突然終わるところがまさに夢的。短くて読みやすいし、幻想的な雰囲気がいい。
    第三夜、第七夜、第八夜がお気に入りです。特に第七夜は、一歩踏み出すも勇気、そこにとどまるも勇気、踏み出してしまえば後には引き返せない恐怖…色々思うところがありました。深いなぁ。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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