秋草と虫の音 [青空文庫]

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  • 青空文庫
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  • 「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにもそまずただよふ」
    この歌は大好きだけど、牧水の歌はこれしか知りませんでした。
    『秋草と虫の音』は歌集ではなく、ところどころに歌を挟んだ随筆。いかにも自然を愛でつつ書いている感じの文章から、景色が浮かびます。

    越ゆる人まれにしあれば石出でて
    荒き山路のりんだうの花

    りんどうは花屋さんで見てもパッと目をひく青が印象的な花だけど、この歌みたいにひっそり咲いてるのを想像してもいかにもきれい。人に見られようが見られまいが関係なしに咲く花の美しさを感じます。

    牧水は彼岸花が群生してるのはあまり好きではないようですが、読んでたらお彼岸が楽しみになりました。
    夏の酷暑をこらえたあとで咲く秋の野の花には格別の美しさがあるな、と改めてしみじみ思いました。

    こほろぎのしとどに鳴ける真夜中に
    喰ふ梨の実のつゆは垂りつつ

    これは梨があれば家に帰るのが楽しみになるような、なければ買って帰りたくなるような歌。コオロギの声とのセットはもううっとりするレベルで初秋らしい。

    通勤中に読む本を持たずに出てしまったので青空文庫で探して何気なく読みましたが牧水の随筆いいなぁ。この人の書くものは歌も文章も、派手なレトリックを使わないで見たまま感じたまま、な感じ。素直に読めて気持ちがいいです。
    ますます秋が楽しみになりました。

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著者プロフィール

1885(明治18)年、宮崎県生まれ。延岡中学時代から作歌を始める。早稲田大学英文科卒。早大の同級生に北原白秋、土岐善麿らがいた。1910年刊の『別離』は実質的第一歌集で、その新鮮で浪漫的な作風が評価された。11年、創作社を興し、詩歌雑誌「創作」を主宰する。同年、歌人・太田水穂を頼って塩尻より上京していた太田喜志子と水穂宅にて知り合う。12年、友人であった石川啄木の臨終に立ち合う。同年、水穂が仲人となり喜志子と結婚。愛唱性に富んだリズミカルな作風に特徴があり、「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ」など、人口に膾炙される歌が多い。また旅と自然を愛し『みなかみ紀行』などの随筆をのこした。27年、妻と共に朝鮮揮毫旅行に出発し、約2カ月間にわたって珍島や金剛山などを巡るが、体調を崩し帰国する。28年、日光浴による足の裏の火傷に加え、下痢・発熱を起こして全身衰弱。急性胃腸炎と肝硬変を併発し、自宅で死去。享年43歳。

「2021年 『歩く人 牧水紀行文撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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