正夢 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 4
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  • 幻想文学で有名な夢野久作の作品。
    この「正夢」は短い作品でありながら、人間の本質がたっぷりと含まれていると感じた。
    高価な指輪欲しさに1人の乞食を早とちりで殴りつけて気絶させる跛の乞食、その気絶した乞食の身体を裂いてでも金の指輪を手に入れようとする紳士。これらの人物はみな、自らの欲のため他人のことを思いやらずに行動する。これは人間の本質は悪であるという、性悪説に基づいているように思える。
    そこでその対になる存在が、紳士の子供たちだ。彼らは見ず知らずの乞食を助けるために、母からもらった指輪を差し出す。子供たちの清らかで美しい心は、人の本質は善であるという、性善説を表していると考えられる。
    我々はこの作品を通してヒトの本質についてより深く考えられるのではないかと思った。

  • この作品は、大人の汚さと子供の純粋さがテーマであると思う。作中にダイヤモンドの指輪欲しさに乞食を平気で殺そうとする大人と、純粋に乞食を助けたいという気持ちから、自分の指輪を迷わず差し出す子供が登場する。結果として、欲望のままに行動した大人も子供のその無垢な心に感動し、改心する。私は今大学生で、もう大人でもありまだ子供でもある年齢だが、作中の大人と子供、どちらの気持ちもわかるような気がした。現代社会においても、殺人までとはいかなくとも、私利私欲のために平気で人を傷つけるような嘘をついたり、仲間を蹴落とすようなことをする大人は少なくないのではないかと思う。しかし、そんな大人もみんな根から悪い人なわけではなく、作中の子供のように純粋に人の幸せを願うこともあるのではないだろうか。または、欲にまみれた行動を反省できる素直さもあるだろう。とても短い作品だか、そのように考えさせられるものだったと思う。

  •  めでたしめでたしなお話しなんだけれど……途中の禿紳士の言動が少しグロテスクさがあったりして、どうなるのかと思ったり、実はめでたしめでたしではないのではと勘ぐってしまったり。よく考えると、意外ともやっとしてるところが多くて、「ほんとに夢?」となってしまう。さてはて。

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著者プロフィール

1889年、福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇味と幻想性の色濃い作風で名高い。1936年歿。

「2021年 『空を飛ぶパラソル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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