春の鳥 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 3
  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 教師である筆者が出会った白痴の少年、少年の母親から教育を頼まれたが難航する。私は本書には記されていなかったが、教師が少年に出会ったことにより今後、教師として大成していくのではないかと思った。さらに、本書の中では少年が鳥好きであることが登場していました。これは、少年が鳥のように空を自由に飛びたい、自由に生きていきたいということが暗示されているように感じました。

  •  国木田独歩の作品は、誰かの語った話という記述が多いように思うのですが、本作品は自らが六七年前に体験したこと、という形式です。
     多くの独歩作品のように物悲しい、しかし美しい、余韻の残る作品。
      http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170724/p1

  • 人権の概念が薄い当時でも教職者の主人公が六蔵に親しみを寄せていく姿が読んでいた時の見どころの一つ。何度教えても数が覚えられない、鳥が好きで「もず」を見ても「ひよどり」を見ても「からす」と答える子供にも、「空の色、日の光、古い城あと、そして少年、まるで絵です。少年は天使です。」と美しい情景の中に思いを寄せていく様が巧みに盛り込まれており、四の読後には不思議な爽快感があります。一方で⁂以降では、六蔵のことを死んだほうがよかったという母親の哀れな様子が描かれており、からすの鳴く真似が上手でした、と語る母親の姿を、主人公は直視できない。あきらめるより他ない、などと言われているこの無念な結びは、少し後味が悪くなっているのでは…と思いました。そしてこれはいったい何なのか、というか、そもそもこの流れは必要なものだったのか、というのが気になったので、納得のいく解釈を探してみました。(私の読み方いつもこんなノリだ…)

    http://aska-r.aasa.ac.jp/dspace/bitstream/10638/1801/1/0005-025-200203-153-168.pdf

    検索したら最初に出てきた論文なので有名なのかもしれませんがこちらも読みました。
    上記によれば途中挿入される「童なりけり」という詩の内容紹介、これは独歩が執筆当時読んでいたとされるワーズワスの詩に影響を受けたものだとされ、原文は"There was a boy".内容は四に紹介されている通りですが、六蔵の11か12という年齢設定と、この詩の原文に出てくる少年の年齢とが一致しており、この作品の六蔵の結末を暗示させるようになっているという仕組みがあるらしい、とのこと。加えて結末の母親との会話も、自分の中に生まれた絵(「少年は天使です」にあらわされる箇所)を大切にする為、当時の知的障害を持つ人たちへの将来性の認識などからは切り離して考えた結果であろうとされており、どうやらこの作品、「童なりけり」あってこそのこの構成のようなのです。なるほど、こう考えると面白い。これ藤村だったら原文そのまま引いてくるんでしょうけど、そこは独歩の配慮なのかちゃんと翻訳&要約をしてくれるんだな、と別の意味でもやや驚きというか面白さを感じました。独歩さん読者に優しい…
    ただ、白痴教育に理解を示しながらも、やはり当時の考え方から言って根本的にそういう子供が大人になるという未来に必ずしも明るさを見いだせず自分の中の絵を大事にしたいという姿まで描き切る部分、この小説にやや自然主義的な側面があるかも、と思える一面でした。おそらく独歩はこれを自然主義云々として書いてないと思うのでこう言ったら何なのですが、なんだろう、とても「自然主義」というカテゴライズに当てはまりやすい作品だな、と…
    まあ頭でっかちな話は置いておくとしてもすごく柔らかくてすぐ読めるいい話でした。勧めてくれた方ありがとうございました。

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