生まれいずる悩み [青空文庫]

  • 青空文庫 (2000年10月10日発売)
  • 新字新仮名
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青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 最後でようやくタイトルの意味が分かった。著者の「君」に対する愛情があふれた作品である。「君」の話から想像を膨らませて描いた内容とはいえ、あまりにも写実的で、作者の実体験ではないかと錯覚するほどだった。また、文字から呼び起こされる風景が、時には「君」の描く絵のようでもある。文字の描写力もすさまじい。

    都会で画家を目指していた「君」が、漁師の家庭を支えるために厳しい仕事に埋没する。それを作者は惜しみ、何とか夢をあきらめるな、と訴える。もっと前に読めば自分の人生変わったのでは?と思う人もいるかもしれない。それほどこの作品には切実に訴えるものがある。青空 in Browsersは読みやすく、とても助かりました。

  • どうしようもない、どうしようもない、って百万回言ってもどうしようもなく諦められないことはあるしそれでも生きていかなければならないときにその足かせのような諦めきれないぼろ雑巾みたいな夢や執着や未練が、どうしてかかすかな、光であるときは確かに、たしかに、私たちの日々の隙間に埋まるようにそこにあるのだと思った。

  • なんか作家のいきすぎた妄想なだけのような気がするのだが、 漁師の仕事を誇張しすぎだし、いくらなんでも趣味で絵をやるくらいはできるだろうと思いつつ、 こんな風に人生の先輩が自分の苦難の進路を励まし共感してくれたらいいなとは思った

  • 久々に文学らしい文学を
    読んだ感じがする。
    「生まれいずる悩み。
    はるか昔からこの作品の名前は
    知っていたが、青空文庫のおかげで
    気軽に読むことが出来た。
    想像していた内容とは全く違っていて、
    骨のある作品で、かつ人々への愛に
    あふれているものだった。

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著者プロフィール

1878年、東京生まれ。札幌農学校卒業。アメリカ留学を経て、東北帝国大学農科大学(札幌)で教鞭をとるほか、勤労青少年への教育など社会活動にも取り組む。この時期、雑誌『白樺』同人となり、小説や美術評論などを発表。
大学退職後、東京を拠点に執筆活動に専念。1917年、北海道ニセコを舞台とした小説『カインの末裔』が出世作となる。以降、『生れ出づる悩み』『或る女』などで大正期の文壇において人気作家となる。
1922年、現在のニセコに所有した農場を「相互扶助」の精神に基づき無償解放。1923年、軽井沢で自ら命を絶つ。

「2024年 『一房の葡萄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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