この物語の主人公は24歳の女性で、太宰治はこの女性目線で物語を書いている。
女性は父の会社である男性の画を見て衝撃を受け、「どうしても、あなたのとこへ、お嫁に行かなければ、」と思い、親の反対を押し切ってこの男性と結婚した。男性は売れない画家で、結婚してからは貧乏な生活を送っていたが、貧乏が嬉しいと思うほど楽しい毎日だった。その生活の中で女性は、自分の夫はこれからも有名にはならず、お金持ちにもならないと思っていた。しかし、その予想とは裏腹に男性の画は高い評価を受け、画家として飛躍を遂げる。個展を開くと出品した画が全部売り切れ、有名な大家から手紙が届くようになった。
画家として成功しお金持ちになると、男性はどんどん人が変わっていく。アパートの部屋を恥ずかしがるようになり、身なりを気にするようになり、嫁の財布の中をしらべるくらいにまでお金を気にするようになった。誰にも頭を下げず、自分の思うように生きていた夫はもういなくなってしまった。しまいには、女性は夫を憎むようになり、「ああ、あなたは早く躓いたら、いいのだ。」「きっと、悪い事が起る。起ればいい。」とさえ思っていた。
そして、結婚して5年が経ったときに別れを告げた。
この本の登場人物について、意見が分かれるだろうと感じた。女性を情熱的・魅力的だと捉えるのか、自己中心的だと捉えるのか。男性については、女性目線で書かれているため批判的に書かれているが、男性は悪い方にだけ変わったわけではない。男性が読むのと女性が読むのでは、登場人物について意見が分かれるだろう。
私はこの本を一行目のインパクトで決めた。だから他の人にも読んでみてほしい。