海を越え、島に着いた「私」はそこで「彼」と出会った。「私」と「彼」はふるさとが同じで、ここは日本ではないらしい。ここには他にも沢山の猿がいる。「彼」はひとりぼっちで、「彼」が勝ち取った木の場所を「私」とふたりの場所にしてもいいと言った。
霧が晴れ、白いよそおいをした瞳の青い人間たちが流れるようにぞろぞろ歩いてるのを見た。「彼」は青い瞳の人たちが私たちの見世物であると言った。
「私」は二人の子供たちがこちらを見て、話しているのを見た。「彼」に何を言っているか尋ねると「彼」はぎょっとし、のろのろと「いつ来ても見ても変らない、とほざいたのだよ。」と言い出した。
「彼」は「私」にウソをついていた。私たちが見世物であったのだ。「私」は「彼」に対する激しい怒り、おのれの無智に対する羞恥の念を感じた。
「私」と「彼」だけがその事を知っている。「私」はここから逃げると「彼」に言った。「彼」はここにいると不便しないことを「私」に言った。その誘惑は真実であったが、それでも「私」は執拗に叫んだ。
ロンドン博物館附属動物園から日本猿が2匹脱走した。
「私」のことを人間だと思って読んでいたので、途中で猿だと気付いた時は鳥肌が立った。
「私」は動物園で見世物にされている猿であり、そのことによる怒り、悲しみ、恥ずかしさなどの感情を持ち、最終的に脱走するという話
動物園にいれば日当たりはよく、木があり、水の音が聞こえ、飯の心配が要らない。このように捕らわれているが安定を求めるか、自由を求めるかを考えさせられる話だった