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感想・レビュー・書評
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これを名作と分類した文学者はなかなか只者ではないのではないか。
この文三のどうしようもないっぷりは、今ならいろんな家のニートを訪ね歩けば棒に当たるレベルで見つかりそうな。ウジウジしながらも溜め込んで何も言えないし、すぐ泣くし、すぐ怒るし。
テストで、このときの主人公の気持ちを述べよって言われれば、おまえ竹原慎二にでも相談に行ってボコボコにされて来いって言っておしまいだし。それで先生に0点つけられたらグレるし。
まぁでも古典文学の登場人物っぽいっちゃあっぽい。
とか言ってもしょうがないので、このモヤモヤを明日へのエネルギーにして生きていきたい。 -
言文一致体ということですが、妙に芸人口調、落語口調で面白かったです。
お勢さんは女学校にいったわけではないそうですが。この時期の女学校にはずいぶんラディカルな教育をしたところがあるらしく。かわいい美人がこんな口調で物を言ってるところを想像すると微笑ましいですね。
本田さんがお勢さんに迫るところは本気で戯作調で、ほんとにこんなこといいながら女に迫る人っているのかな?と思いました。
お勢さんのお母さん、本作ではやや脇役ではあるけれども彼女の気持ちもわからないではないです。しかし、彼女が本気になれば、お勢さんのためにいくらでももっと好条件のお見合いを引っ張ってこれそうなのに手をこまねいているのはちょっとおかしいな、ご都合主義だなと思いました。
文三さんは苦労人のはずなのに、妙なプライドがあってこれにも少々違和感がありました。
未完なのは残念です。