- 青空文庫 ・電子書籍
感想・レビュー・書評
-
訳・佐々木直次郎。この作品は、小学生のころ、図書室で借りた『ポー作品集』に、『黒猫』なんかと一緒に収録されていたのを読んだのが最初だと思う。ギリギリくるような恐怖感は鮮明に覚えているものの、細部ははっきり覚えていない気もするので、ダウンロードして読んでみた。
スペインの都市・トレドで、ある男が異端審問にかけられたのち有罪の宣告を受け、幽閉された部屋での話。ごく普通の部屋だと思って歩き回ると、部屋には仕掛けがほどこされており、男は次第に追い詰められていることに気づく。
鮮明に覚えているのは、タイトルのうち「振り子」のパート。刃のついた振り子がインターバルを狭めながら、密室の中を、ひゅうっと空を切って男の身体に迫ってくる部分の緊迫感とそらおそろしさといったら凄まじく、「このしくみを考えた人間は血も涙もないのか」と震え上がったものだった。今読むと、経過した年月のぶんだけ冷静には追えるようになったけれども、やっぱり怖い!
ほかにも用意された追いこみアイテムは、人間を追い詰める手段としては凝っているとは思うけれど、「そもそも、そういう仕掛けはできるものなのか?」とわいた疑問のほうが大きくて、ちょっと引いた目線で見てしまった。ここは昔と変わらず(笑)。
「異教徒」をあぶり出す、または処刑するために考案されたカトリックの手法は、実際、凄惨をきわめたという。この作品でとられた手法が実在するかどうかは別として、「さもありなん」という設定と、恐怖をあおる手段と描写が巧みな短編で、今読んでもやっぱりディープインパクトでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宗教裁判で有罪と判定された語り手が処刑されそうになる話。
異常な処刑の方法が次々と。
こんな処刑の方法を考えるポーはかなり独特の発想力を持っていたのだろう。
で、ポーは名探偵ホームズの原型たるデュパンのみならず、怪盗ルパンの原型も描いていたと。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180103/p1