グスコーブドリの伝記 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 10
  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • うーーーーっと読みきったときに唸ってしまった。
    悲しいというか、切ないというか。何かもっと手立てはあったでしょう?やりきれない。
    自己犠牲。銀河鉄道の夜といい、やはり、宮沢賢治の理念なのだろうか。
    それにしても、農業学校に通っていたという宮沢賢治らしい話なのかもしれない。ファンタジーであるにもかかわらず、農業や飢饉に関してはリアリティがあって面白く読めた。

  • とてもさらりとブドリの人生が書かれているので、読み終えて1秒後にぶわっと押し寄せてくるものがあった。彼の行動によって続くものと続かないものがくっきりとして、かなしいというより寂しい感じがした。
    https://twitter.com/an_azure/status/217815551437836289

  • この物語は主人公であるグスコーブドリの生涯を描いている。グスコーブドリの幼少期は父と母、そして妹のネリと暮らす普通の幸せがあった。しかし、まだ小さいグスコーブドリは「寒波」によりその幸せは壊されてしまう。その後のグスコーブドリの生涯の中には家族を失う辛さ・孤独・新しい出会いと喜びなどグスコーブドリの環境に様々な変化が起こる。この物語のラストである、グスコーブドリの生涯の終わりにはグスコーブドリが生きてきた中で、最も恐れたことが「死」ではないことが感じられる結末となっている。グスコーブドリと共に生きて、共に考えることが出来る物語である。グスコーブドリの最後の決断はどのようなものだったのか、グスコーブドリの決断は正しかったのか、その答えはぜひこの物語を読んで考えて見て欲しい。

  • 平易だけど独特の語り口/3.11の記憶/あっさりとしたブドリの最後/でも最後に語られるあたたかさ/これまでになく胸を打たれた

    今になって宮沢賢治の言葉がこんなに響くとは思わなかった。言葉でさえマーケティングの道具にされてしまって、最近のネットコンテンツの記事タイトルとか、もう目を覆わんばかりだ。本当にシンプルで、本当に胸の中にスッと入ってきて、そこにほんのりと温かさを残す。そんな言葉。

  • 青空文庫で読めますので、本を持ち歩かなくてもいいです!
    賢治氏の言葉の世界を愉しんでいきます・・

  • 大きく三つの要素、すなわち、
    a) 冷害による飢饉の実態を伝えるドキュメント
    b) 未来の農業と災害対策を提案するサイエンスフィクション
    c) 自らを犠牲にして多くの人を助ける英雄譚です。
    三つめの要素により子供にはお勧めしにくい作品です。

    実際の課題対策において、人が犠牲にならなくて済む=繰り返して実行できる手法を考え出したほうが上手くいくケースが多いように思うからです。ただし、僕がこの思いに至ったのは、大人になって、随分経ってからです。

    十年前の原発事故の時、僕は「どうせつまらない人生だ。俺の命で何か役に立つなら惜しくない。」と安直に思って、具体的に何ができるかな、と考えてみました。
    そして、どうやら死体が一つ増えて、処理をするための手間が嵩むだけだと思い直したのでした。
    ならば、作業員として毎年線量の限り労働に励むべきでした。そして、そんな地味な作業をやりたくないから、派手ないわゆる「惜しまれながら死んでゆく英雄」を気取りたかったのかも。と反省した次第です。

    ブドリ君や、技師長、博士たちには、繰り返し実行できる、上手い方法を見つけ出して欲しかったです。と思ったところで、これは宮沢賢治の願いなので、ケチは付けまい、と思い直しました。
    若いときに肋膜炎を患い、長く生きることができないと悟った宮沢賢治は、できれば人の役に立って神に召されたかったのだろうな、と推察しました。

    その他の要素については、下記の通りです。
    a) 冷害による飢饉
    冷害による飢饉の実情(飢饉で人が餓死する、ってどういうこと?)がよくわかりました。

    b) サイエンスフィクション
    CO2が地球温暖化に効く。と言うのは、その通りの理解が、ようやく昭和の末期から平成にかけて言われるようになりました。(抑制せねばならぬ。」と逆の方向ですが。)

    その後の岩手県の農業や、
    他のやませが吹く地方(なおかつ、冷害でも飢饉を引き起こさない地方)に学ぶ事が多かった、宮沢賢治死後の推移があったと思います。
    温暖化よりは、気候にあった作物を育てること。
    すなわち、何が何でも「米」というのが、やませが冷害に直結するという学習があったと思います。

  • グスコーブドリが一生をかけて気象の研究をした成果を描いているのですが、ラストは思いがけないものでした。こういう結果だっけ?昔読んだ記憶があるものの、最後だけ忘れていました。

    子供時代のブドリは大人にこき使われ、それでもどん欲に知識を身に着け、独立します。現代に置き換えれば、親に捨てられ、大人に虐待を受けた子供、という感覚で、切なくなります。地学に関する専門的、かつ幻想的な表現が、過酷な人生の状況を緩和したような印象、とでもいうのでしょうか。それとも、行間にはもっともっと様々な意図があるのでしょうか。私には難解でした。

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著者プロフィール

1896年岩手県花巻市に生まれる。盛岡高等農林学校農芸化学科卒業。10代の頃から短歌を書き始め、 多くの詩や童話の作品を残した。 生前に、心象スケッチ『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を刊行。 また、羅須地人協会設立し、農民の生活の向上のために尽くしたが、1933年急性肺炎のため37歳で永眠。

「2021年 『宮沢賢治童話集 注文の多い料理店・セロひきのゴーシュなど』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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