舞姫 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字旧仮名
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感想 : 3
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感想・レビュー・書評

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     所詮、自分は見栄っ張りなのだろうなぁ。
     国文科卒業で森鴎外を読まないとは言いづらいな、と思って……★ 教養程度を問われるのが怖ひ。たまには読まなければならない書物を抱える必要があるのかもしれないなぁと、小ずるくも考えたのでした……。
     そんなこんなで、虚栄と義務から読書をした記録を残します☆

     一番驚いたのは「舞姫」がドイツの踊り子さんだったことかも。舞妓さんの話とかじゃないのね!?
     日本人ハイスペック彼氏(でも多分、ひ弱な)の豊太郎が、海外でいっときヒモ男になるのですが、現地女性を身ごもらせておきながら……!!!! これはどうしても、エリスが気の毒すぎるという方向に意識が行ってしまう展開です……。

     外国人女性と関係に至るなんて言語道断で、職や地位、築いてきたものすべてが崩れ去るこの時代背景では、抗う術などなかったってことでしょうか? ですが、この「高学歴ダメンズ」な主人公の悩みかたがイヤです。歯がゆさにイラつくのも、りっぱな感想ですよね。

     ん? 待ってくださいよ。私だって自分の経歴を気にしましたよね!?(あいにくちっとも高学歴ではないけど★)う~ん、そうね、周りから信頼を得られなくば、生きること自体が身に染みてツラくなることはお察しします……。
     なくなってほしいです、個を殺す社会風潮。

     それはともかく美文の宝庫でした。一文、抜き出してみます。
    〝四階の屋根裏には、エリスはまだ寝ねずと覚ぼしく、烱然たる一星の火、暗き空にすかせば、明かに見ゆるが、降りしきる鷺の如き雪片に、乍ち掩はれ、乍ちまた顕れて、風に弄ばるるに似たり。〟

     胸にしみいる古めかしき美文調☆ 「一星の火」「鷺の如き雪片」と憂いを帯びて舞い降りては降り積もる言葉たち。かつての日本の言霊には、せつなさをかきたてる力があります。この美文体で、共感できる国際恋愛の物語を読んでみたかったな……☆

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    青空文庫
    図書カード:No.2078
    作品名: 舞姫
    著者名: 森 鴎外
    https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/card2078.html

  • 高校の現代文で読んだ時は、主人公がかわいそうだ、相沢って奴はやなやつだと思っていた。それからしばらくして、主人公の自業自得じゃないのかという考えが頭に浮かんできた。
    今回、久しぶりに読んで、やはり主人公の自業自得だと思った。でも、主人公も現状を打破したくて迷ってしかしそれは中途半端で。彼の八方美人、もしくは嫌と言えない気性が全ての原因になっていると思った。
    そういう人間は多いんじゃないだろうか?

  • 小説批評の講座の課題で読んだ。高校現代文の教科書にのる名作。自分自身、主人公があまりにへたれなので好きでない。鴎外自身の生涯を見ても、エリスが浮かばれなさすぎだ。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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