水仙 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 新潮文庫の「きりぎりす」で一度読んだことあるので、実質再読。
    褒めればそれでいいのかという話。褒められすぎて、疑心暗鬼になるのはなんだか皮肉で哀しい。

  • 飽くなきひとの探究心
    存在は固定しない。固定した先からするりと指先を抜けて消えてなくなる。別のものに変わる。
    確固としてないという確固たる結論。存在は不条理だ。
    もしも自分の剣の腕が完璧なら、もしも絵を描くことが本当に天才だというのならなぜ、ひとはあのようなことを言うのだろう。それはこの力が本当でないからだ。まだ、足りぬ。
    問いと答えが分離して戻ってこれなくなってしまった殿様と絵描き。即自だったものが対自に分離してそのままになってしまった悲しい存在。無限の対立という幻想に陥ったままのひ弱な存在。なぜこの力が本当ではないのかと問わなかったのか。
    追い求めるという動きそれ自体がすでに理想を実現しているというのに。理想は決して彼岸のものではなくて、この現実と共にあって生れ出るものだというのに。
    絵描きの描いたもので残ったのは、水仙。自己愛の象徴。どんなにすばらしく描けても、自己を愛せなかったものの結末。
    俗人の凡才である物書きの「僕」が感じる不安は、本来ひとつのものが分離をその内に含んでいるという動きへの不安ではないか。

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著者プロフィール

太宰治(だざい おさむ)
1909年、青森県生まれ。本名津島修治。東京帝大仏文科に在学中、酒場の女性と鎌倉の海岸で心中を図り、一人生き残る。また、左翼思想に共鳴して非合法活動に加わり、大学を中退。1935年、「逆行」が第1回芥川賞候補となるが落選。腹膜炎治療時の鎮痛剤パビナールの中毒となって不眠・幻聴に悩み、東京武蔵野病院に1カ月入院する。1939年、井伏鱒二の媒酌で石原美知子と結婚。戦後は「斜陽」などの作品で流行作家となり、坂口安吾、織田作之助らとともに新戯作派、無頼派と称される。1948年、愛人の山崎富栄と玉川上水で入水自殺を遂げる。
 主な著書に『晩年』『女生徒』『皮膚と心』『女の決闘』『津軽』『右大臣実朝』『お伽草紙』『パンドラの匣』『ヴィヨンの妻』『斜陽』『人間失格』『桜桃』などがある。

「2021年 『黄金風景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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