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感想・レビュー・書評
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先日twitterで見かけたエピソードの中で引用されていた作品。作品全体としては見た夢をそのまま綴っているかのようにあちこちの時代と場所の掌編が並ぶ。哀蛾と花売りの少女のエピソードが印象に残った。厭世的でも最後の『生活』で「どうにか、なる。」と締めくくっているように、生きることを諦めていない。twitterで秋冬の洋服を楽しみに生きるといったギャルに友人が紹介したエピソードは冒頭に。希死念慮のある主人公がお正月に夏物の着物生地をもらい、それまで生きようと思った。柴門ふみの漫画にも、学校で飛び降りようとした女子高生が二人とも生理で死体で見られると恥ずかしいという理由で思いとどまるエピソードがある。有望な若手俳優さんの訃報が流れて聊かショックを受けた。彼にもこんな些細なことでいいから思いとどまれるようなエピソードはなかったのだろうか。これからの方なのに残念。
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新潮文庫の「晩年」で読んだことがあるので、実質再読。
1つ1つの言葉の束が1つ1つの葉で、それぞれ愛おしく感じてしまうのは一番最初に出版した「晩年」の一番最初に収録されているからなのか。
前に読んだ時は花売りの女の子の話が一番印象に残ったけれど、今回は芥川の「雛」の影響を受けた「哀蚊」が妙に印象に残った。なんだかこっちの方が俗っぽくて、まだまだ初心者感?まねて作ったって感じがする。 -
書き出しと、花を売る白人の女の子が心に残る。