瓶詰地獄 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 11
  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 神を知らなければ、悪魔を知ることも無かったのかもしれない。
    ごく自然に生き物としての摂理を受け入れて、美しい島でふたりきり、いつまでも幸せに暮らせたのかもしれない。

  • NAVERまとめ( http://matome.naver.jp/odai/2135209203289142201 )から興味を惹かれて読む。
    船が難破し無人島に漂着した兄妹が直面する苦悩が、手紙を瓶に入れて海に流した兄の視点で描かれる。
    兄のもがき苦しむ内面の描写と対比して、島の恵みと成長した妹の描写は生命力に溢れている。残酷でなまめかしいお話でした。

  • 物語はある浜辺に打ち上げられた瓶詰めの手紙。手紙を書いたのは無人島に漂着した兄妹。wikiにもあるが問題は手紙が書かれた順番。考えようによってはすごく恐怖。夢野久作氏らしい不思議な感じ。

  • 瓶の中に入れられた3つの手紙で物語が成たっている。楽園のような島で暮らす兄妹が主人公。
    読み手が様々な考察をしながら読むことができるのでとても面白かった。

  • 果たして地獄は、美しい妹への普通ではない恋情からの背徳なのだろうか。
    ふたりが背いたのは一体なんだったのか。
    手紙の差出人は二人→太郎→太郎とアヤコとなっている。言葉づかいから考えると第一・第二の手紙が「私」というアヤコではない誰かであることが窺える。第三の手紙はカタカナ書きだからわからない。アヤコの名前もなぜかカタカナ書き。しかも主語は「私」ではなく「ボクタチ」である。第三の手紙の性質が鮮やかにこれら手紙の存在をうやむやにする。
    そもそも遭難したのはひとりだったのかもしれないとも考えられる。
    いろんなことを想像できた。
    一文一文の情報量が信じられないぐらい濃密で、繰り返し読むほど、情景が浮かび、余計にわからなくなる。わからないから作中の手紙を繰り返し読んでしまうし、繰り返し読むと新しいことを発見してしまう。
    瓶詰地獄ならぬ堂々巡りの地獄であった。
    瓶詰地獄で彷徨うのは作中の人物ではなく読者の方なのか。
    そもそも謎を抜きにしても、思わず繰り返し読みたくなるほどに面白いのが、この作品の真の魅力だと思う。また、10分程度で読めてしまう手頃さもこの作品の良いところだ。

  • 怪奇色と幻想性の色濃い作風で有名な夢野久作の作品です。この「瓶詰地獄」は海洋研究所への手紙1通と無人島から兄妹が送った3通からなりたつ話になります。
    この作品は兄妹が生きるのに不便ない無人島に流れついてから10年以上二人で過ごし、たがいに男女として惹かれあう近親相姦の話になります。
    一通目の手紙は無人島に助けの船が来たが罪の意識を感じ、身投げする旨と両親への謝罪が書かれています。二通目は二人でどのように無人島で生活していたか、成長してから互いに惹かれあってしまったことなど苦悩の手紙でした。三通目は難しい漢字など使われずに書かれた親に助けを求める手紙です。
    これらの手紙は一通目、二通目…と呼んでいますがこれらは海洋研究所に三通同時に流れ着いたものなので、正しい順かわからず話を読むにつれ少しわかりにくくなっていきます。
    まず考えられるのは、三通目は一番初めに幼い二人が書いた手紙ということです。助けを求める簡単な文の手紙なので聖書で文字を勉強する前のものだと考えられます。一通目の手紙は書いた後自殺をしているためこれが最後の手紙になると思います。兄弟が書いた手紙の順は三通目、二通目、一通目の順だと考えられます。
    この話を読むにあたって頭に入れておきたいことは兄がキリスト教信者であり、二人が字を学ぶのに使用していたのは聖書だったというところです。キリスト教は近親相姦を禁じていて、無人島で読める書物は本だけであり幼い二人の常識は聖書によって形づくられていたということです。罪の意識が強くなり兄妹で結ばれないからと身投げする二人の行動が少しは理解しやすくなると思います。
    「瓶詰地獄」は、「瓶詰の地獄」と呼ばれることもあるのですが、「瓶詰地獄」のほうが閉塞感があり無人島から出られない状況と社会の常識的に許されない二人の気持ちがタイトルとして表れていると思います。
    手紙の順や二人の行動など解釈が分かれる面白い話です。

  • この作品は夢野久作の作品です。昭和3年(1928年)発売の雑誌『猟奇』10月号に掲載されたのが初出で、30分もあれば全て読めてしまうほど短い作品です。何度か改稿されているので「瓶詰」や「瓶詰の地獄」など色々な題名がありますが、「瓶詰地獄」とされている場合が多いです。

    ※ここからネタバレ注意※




     この作品の内容は、危険な虫や獣が一切おらず、瑞々しい果物や美しい花々で溢れたまさしく「楽園」のような無人島に二人で取り残されてしまった兄妹の話です。食料や水に困ることもなく、遭難する前から持っていた荷物の中から聖書を使って学校ごっこをしたりして二人は幸せに暮らしていました。そんな二人の幸せな生活に異変が起きます。それぞれの体が時が経つにつれて成長してしまったがために、兄妹でありながらお互いを異性として意識し始めてしまったのです。その葛藤が本人たちの書いた手紙の形式で描かれていく・・・というものでした。要するに近親相姦モノです。
     1通目として載せられている手紙は二人で身を投げることとそのことについて両親への謝罪が綴られた手紙。2通目として載せられている手紙は遭難してからの二人の生活と、時が経つにつれて互いを意識するようになってしまったことの懺悔が綴られた手紙。3通目はカタカナと簡単な漢字だけで書かれた、単純に助けを求める短い手紙。
     手紙がどこかに漂着して読まれた順に載っているのですが、その順番と手紙が書かれた順番が一致していない興味深い構成になっています。1→2→3とそのままの順番で読むとよくわからなかったけど逆から読んでみたら・・・というように、読む順番を変えると違った解釈ができるようになっています。内容が内容なので一概には言えませんが、もしも近親相姦に耐性がある方ならいろいろな順番で読んでみて自分なりの解釈を深めてみるととても面白いと思います。おそらく時系列的には難しい文字や文章の書き方を覚える前に書かれたと推察できる3通目が最初。聖書を使った学校ごっこを経て文字と文章の書き方を覚えてから書いたことが推察できる2通目が2番目。ついに救助が来たことと「私たちが一番はじめに出した」という文章から、少なくとも最初に書かれた手紙ではないと推察できる1通目が最後。と、載せられている順番とは逆からの順番が正しいと思います。しかしこの順番は私の考察なので読み手によって2番目(2通目)と3番目(1通目)が前後するかと思います。
    内容が少し人を選ぶものですが、考察や解釈の幅がとても広くなる、面白いつくりの作品だと思います。

  • 最初の瓶から最後の瓶への変化が狂気にみちていました。

  • テーマとしてはよくある?ありがち?な話だが、物語の構成がおもしろい。
    最初はよく分からないが、だんだんどういうことだったのかわかっていく。最後読むと悲しい。
    でも、そもそも論ながら、極限状態だしそこまで気に病まなくても、、まあいーじゃん、と少し思ってしまった笑。宗教が絡むからなんだろうけど。

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著者プロフィール

1889年、福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇味と幻想性の色濃い作風で名高い。1936年歿。

「2022年 『人間腸詰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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