新しい卒業生の皆さんへ [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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レビュー : 4
  • 青空文庫 ・電子書籍

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  • この作品は、著者が当時の卒業生に対して送った祝電であると考えられる。書かれた年は、1948年4月である。つまり、戦後間もない時代に書かれた作品だ。
     著者は、身体の不調により「今日のこの会」に出席できないので、新たに卒業する女子生徒たちに向けてこの手紙を書いた。はじめに、「皆それぞれ、人生の通過点において、感じることがある。その中でも今日を生きる若い女性が1番痛切に感じていることは何か。」と問いかける。当時の「女性」というのは、「男は仕事、女は家庭」という位置づけであったため、専門学校や女学校を卒業しても、母と同じように、一生、家事をするだけの人生になることが目に見えていた。そのような現実と、もっと何かを学びたい心を胸に潜めている若い女性がいる現実があった。この作品は、若い女性の願いを叶えられない当時の、悩みの濁流から抜け出す勇気をくれる作品だ。
    この作品を読んで、現代を生きる私たちにも言えることは、ものを考えることを止めてはいけないということだ。そうすれば、1人の人間として、自分のを未来を考えることが出来るだろう。

  • 著者の宮本百合子氏は戦時、戦後活躍した東京都出身の小説家である。デビュー作は「貧しき人々の群れ」、代表作は「風知草」などで、執筆活動の他、文芸運動や婦人運動の推進にも尽力した。
    この作品は、卒業式を迎える女学生たちに対し、新たに社会に出る女性がどのように考え、生きてほしいかという激励の祝電のようなものである。
    書かれたのは戦後間もない頃であり、今よりももっと女性の社会的立場が苦しかった時代ではあるが、今を生きる私たち若い女性にも心に響くものであるといえるだろう。

  • この本は一つの節目を迎える女性たちに向けられた祝電が書かれている。戦争を迎えて間もない頃の女性像がどのようなものだったのかがうかがえる。女性たちが持つ豊かな望みに対して、日本はまだまだそんな願いに応えられていないと言った作者の意見には、私たちが生きている現代にもまだ通ずる問題ではないかと私は思う。現代では女は家、と言った考えは薄れてはきているものの、はたして社会に進出した女性はのびのびと働くことができているのだろうか。出産や育児などの問題をかかえ悩む女性はたくさんいるだろう。だからこそこの本は今を生きる女性にも是非読んで欲しい。作者は、自分に自信を持てない女性たちも本当は「いじらしい大努力」をしていると心強い言葉を残している。この本は、女性は自分の力を信じ、もっと自信をもって生きて良いと勇気を与えてくれる。そのことを作者は「自分で自分の運命の主人になって働ける道を発見」しなければいけないと表現している。今自分の人生に不安がある全ての女性、また是非男性にも読んでみて欲しい作品だ。

  • 本書は新しく卒業した教え子に宛てた手紙のように思う。
    戦後日本は「男は仕事、女は家庭」という固定概念でいた。高等教育を受けた女性は専門学校に行きたいと思っていても、両親との意見の食い違いがあった。そ学校を卒業しても家庭に入ることが目に見えていた。

    今日、男女は平等になってきたと感じる部分はある。しかし、まだ改善出来ていない部分もあると感じる。1948年の初版から女性が感じていた。古い考えを捨て、新しい時代としての考え方になり、住みやすい時代になっていくことを願いたい。考え方を改めさせられる本であった。

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