巨男の話 [青空文庫]

  • 青空文庫 (2003年6月24日発売)
  • 新字新仮名
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青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 巨男と魔女の母親、王女が森に来るまでの背景が描かれていない分、読了後に考えることが多かった。

    バカとも言えそうなくらいまっすぐな性格の息子の将来を心配した母親が、王女の事情も合わせて、二人が永く一緒に居られるようにと魔法をかけたのではないかと考えるのは深読みしすぎだろうか。
    だから王女はたとえ元の姿に戻れないとしても、心優しい巨男と共に過ごすことが、彼女にとっての幸せだったということはないだろうか。

    自ら作った高い塔から身を投げ、それで彼女を悲しませることで、もとの姿のお姫様に戻せることを願った巨男。
    ワシのような高い鼻やヘビのような鋭い目を持つ母親の姿と比べたら、きっと王女はとても美しく見えたに違いない。
    その姿をまた一目見たいと、ただそれだけで王女の魔法をとこうとしたのなら、母親の見立て通り、ほんとうに不憫な息子だったのかもしれない。

    王女が森に来た理由も、高い塔を作らされてしまったとおり、王様の父親に、少し「足りない」ところがあったからお城を逃げ出したくなったのかもしれない。
    一体どんな王国だったのかということも描かれていないから「おそろしい魔女」との関係もなんとなく妄想してしまう。

  •  複雑だなあー……。心優しいとはいえ、悲しい時間が多かったと思うと最後の決断は悲しすぎる。

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著者プロフィール

1913年、愛知県知多郡半田町(現・半田市)に生まれる。中学時代から童話を書き始め、『赤い鳥』『チチノキ』などに投稿。東京外国語学校在学中に病を得、20代後半の5年間は安城高等女学校(現・県立安城高等学校)で教師をしながら創作活動を続けた。1943年、29歳の生涯を終える。代表作に「ごんぎつね」「おじいさんのランプ」「手袋を買いに」「でんでんむしの悲しみ」を始めとして、多くの童話・小説・詩などの作品を残す。

「2024年 『だれのかげ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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