世界怪談名作集 04 妖物 [青空文庫]

  • 青空文庫 (2003年12月13日発売)
  • 新字新仮名
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青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 訳が岡本綺堂である。もうそれだけで、何か期待してしまってダウンロード。

    今では、ビアスは『悪魔の辞典』のみで評価を得ているようなところもあるけれど、ほかの作品も非常にキレがいい。この作品も、ある事件現場での審問という、限られた空間と人数で展開される。検屍官と証人のやりとり、証人の取った行動が疑惑を増幅させるさまはシャープで、クリスティ『検察側の証人』をもっとコンパクトにした印象。一見、司法のプロセスを踏んでいるにすぎないストーリーがどうタイトルに結びつくのかをぎりぎりまで見せず、ぽんっと鮮やかに締める手際の良さには、なんだかほれぼれしてしまう。

    岡本綺堂の訳文については、英文の細かい解釈は別として、演出としてものすごく配慮されているように思う。やや硬めのナレーション(でも、かなへの開きや語彙の選択がとてもなめらかで読みやすい)と記事文、日誌の書き分けが上手く工夫されており(当時はそれで当然だったかもしれないけれど)、現代文ではこういう区別をつけて書き分けることは難しいんじゃないかな?と思う。私は「翻訳は古びる」という考えについていてはもともといささか懐疑的なので、こういう趣向は楽しく読むことが多いのですが、それは読書歴がむやみに長くなってきたからかなあ。

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