あわよくばさんの感想
2012年12月22日
死にゆく妻を囲む美しい花園、野蛮な活力に溢れた漁村の描写と、そのコントラストがすごくて圧倒される。花園のなかでも、ほかの女たち――病人を世話する看護婦たちは若々しい生命力に溢れており、妻の死はいよいよ鋭く美しく彫琢されている。ここは、生と死、幸と不幸が倒錯する場所だ。
明治31年(1898年)福島県生まれ。早稲田大学政治経済学部除籍。菊池寛に師事し、『蠅』と『日輪』を同時期に発表してデビュー。「文学の神様」とも称された。代表作に、『機械』『旅愁』などがある。 「2021年 『春は馬車に乗って』 で使われていた紹介文から引用しています。」