風立ちぬ [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 10
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感想・レビュー・書評

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  • ジブリの映画公開にあわせて読んでみた。
    映画で使われてるのはタイトルと、
    結核とサナトリウムというモチーフのみのよう。

    サナトリウムで過ごす二人だけの愛の日々。
    当時は結核は不治の病だったようだし、
    それが文学の中で描かれるということは、
    “死”を受け入れなければならないという状況なのだろう。
    そういう物語だから、そこでの生活に後悔はないのだろうが、
    物語が辿り着くであろう場所に明るい未来が見えないし、
    主人公たちの閉塞感。それが読んでる側にも伝わってくる。

    主人公が辿り着いた場所は“幸福の谷”なのか、“不幸の谷”なのか…。二人だけの世界。
    美しいのかもしれないけれど、寂しく哀しい。

  • 二人の歩みが、全編に渡って寂しげな雰囲気を纏わせながら、季節の移ろいと合わせて淡々と語られるのは、とても美しいと感じた。
    激しい情動の無さが、かえって失ったもののの大きさを現しているようだった。

  • 高校時代に読んだ(活字を追った)記憶があるが、新潮文庫の綺麗な表紙以外は覚えていない。ちゃんと読むと味わい深い。悲しく暗い流れで辿り着く結末ながら、暗闇の中で一条の光が見える感覚。中身は全然違うけど、太宰のヴァヨンの妻に近い読後感。

  • ジブリの映画の影響で読了。
    なんともやるせない小説家だな、と。

  • 読みやすい文章だったが、2度読んで漸く内容があたまに入ってきた。淡々と語られる、主人公と節子の純愛。フランス映画のような印象を受けた。
    節子が死んでからも見守っているような描写は美しいと思う。

  • 遅ればせながら、ジブリの映画の影響で読みました。
    後半は少し主人公が鬱陶しくなりましたが、二人の限られた時間を、精一杯感じようとする風景の描写が美しかったです。

  • ジブリの映画は見てないけど、興味があったので。

    不治の病に冒された恋人に寄り添い、共にサナトリウムに行った主人公。そこでの季節が移りゆく様子が坦々と語られる。
    『世界の中心で愛を叫ぶ』が流行ったときに、お涙頂戴物は苦手だと感じたのだが、読むにつれてコレも同じか...と感じで、後半飽きた。

  • ジブリ映画『風たちぬ』の原作のひとつである本作。
    いつ訪れるかわからぬ死の足音を感じながらも、ふたりの時間を大切に、生きていこうとするふたり。今を大事にしようとするあまりお互いに気遣ったり、ときに弱気になったり、切なく哀しい物語。
    一方で、節子の死は直接的には描かれない。描かれず死のその後が綴られる。個人的には描いてほしかったけれど、それが、まだ立ち直れていない主人公の想いを表しているのかもしれない。いざ生きめやも、を表しているのかも。

  • 10代のころに一度読んでいるが、ジブリ映画の原作ということで再読。
    当時はうじうじした主人公にうっとおしさを感じていたけれど、今はうっとおしくは全然感じず、むしろ静かで穏やかな、彼らなりの幸せだったんじゃないかと思う。読者として年を取ってからこんなに読後感が変わるのにびっくり。

  • 風の匂いのする小説。
    最初は優しく美しいだけの話かと思っていたけど、節子が死んだ後主人公が彼女をリアルに感じる描写にすごく胸を打たれた。
    堀越二郎の話かと思っていたけど違ったのね…
    最後に終わり方がなかなか中途半端で、そういう風を狙ったのだろうけどちょっとびっくりした。

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著者プロフィール

東京生まれ。第一高等学校時代、生涯親交の深かった神西清(ロシア文学者・小説家)と出会う。このころ、ツルゲーネフやハウプトマンの小説や戯曲、ショーペンハウアー、ニーチェなどの哲学書に接する。1923年、19歳のころに荻原朔太郎『青猫』を耽読し、大きな影響を受ける。同時期に室生犀星を知り、犀星の紹介で師・芥川龍之介と出会う。以後、軽井沢にいた芥川を訪ね、芥川の死後も度々軽井沢へ赴く。
1925年、東京帝国大学へ入学。田端にいた萩原朔太郎を訪問。翌年に中野重治、窪川鶴次郎らと雑誌『驢馬』を創刊。同誌に堀はアポリネールやコクトーの詩を訳して掲載し、自作の小品を発表。1927年に芥川が自殺し、翌年には自身も肋膜炎を患い、生死の境をさまよう。1930年、最初の作品集『不器用な天使』を改造社より刊行。同年「聖家族」を「改造」に発表。その後は病を患い入院と静養をくり返しながらも、「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」と数々の名作をうみだす。その間、詩人・立原道造との出会い、また加藤多恵との結婚があった。1940年、前年に死去した立原が戯れに編んだ『堀辰雄詩集』を山本書店よりそのまま刊行し、墓前に捧げる。1953年、春先より喀血が続き、5月28日逝去。

「2022年 『木の十字架』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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