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感想・レビュー・書評
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ジブリの映画公開にあわせて読んでみた。
映画で使われてるのはタイトルと、
結核とサナトリウムというモチーフのみのよう。
サナトリウムで過ごす二人だけの愛の日々。
当時は結核は不治の病だったようだし、
それが文学の中で描かれるということは、
“死”を受け入れなければならないという状況なのだろう。
そういう物語だから、そこでの生活に後悔はないのだろうが、
物語が辿り着くであろう場所に明るい未来が見えないし、
主人公たちの閉塞感。それが読んでる側にも伝わってくる。
主人公が辿り着いた場所は“幸福の谷”なのか、“不幸の谷”なのか…。二人だけの世界。
美しいのかもしれないけれど、寂しく哀しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二人の歩みが、全編に渡って寂しげな雰囲気を纏わせながら、季節の移ろいと合わせて淡々と語られるのは、とても美しいと感じた。
激しい情動の無さが、かえって失ったもののの大きさを現しているようだった。 -
高校時代に読んだ(活字を追った)記憶があるが、新潮文庫の綺麗な表紙以外は覚えていない。ちゃんと読むと味わい深い。悲しく暗い流れで辿り着く結末ながら、暗闇の中で一条の光が見える感覚。中身は全然違うけど、太宰のヴァヨンの妻に近い読後感。
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ジブリの映画の影響で読了。
なんともやるせない小説家だな、と。 -
読みやすい文章だったが、2度読んで漸く内容があたまに入ってきた。淡々と語られる、主人公と節子の純愛。フランス映画のような印象を受けた。
節子が死んでからも見守っているような描写は美しいと思う。 -
遅ればせながら、ジブリの映画の影響で読みました。
後半は少し主人公が鬱陶しくなりましたが、二人の限られた時間を、精一杯感じようとする風景の描写が美しかったです。 -
10代のころに一度読んでいるが、ジブリ映画の原作ということで再読。
当時はうじうじした主人公にうっとおしさを感じていたけれど、今はうっとおしくは全然感じず、むしろ静かで穏やかな、彼らなりの幸せだったんじゃないかと思う。読者として年を取ってからこんなに読後感が変わるのにびっくり。