丘の上 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  •  太宰治にもっとも尊敬され、芥川龍之介、川端康成も絶賛したという豊島与志雄。太宰治の葬儀に際しては葬儀委員長を務めるほど親交があったと言われている。
    豊島与志雄はひとの心理分析に優れていた。そのため、主人公の感情が多く描かれている。しかし、その感情はとても暗く狂気的である。それ故に私たちには理解できない部分も多々あるが、太宰治や芥川龍之介などのように有名な作家たちは彼の描く主人公の感情を理解し、彼の小説を讃え彼を尊敬した。そんな豊島与志雄が書いたこの作品は、情景が細かく描かれていてその丘の上に自分がいる様な感覚になりこの本の世界に一気に引き込まれていく。
     この本にも、主人公の多くの気持ちが描かれている。
    この作品では、一人の男性が文通を通じて一人の女性と丘の上で出会うところから始まる。その男性は今までの人生で沢山の人の死に遭遇してきた。大抵の人は人の死に接すると、沈んだ気持ちになる。しかし、その男性は人の死をみるといつも、ぱっと明るい日の光がさしていた。彼は、そのことを不思議に思っていた。そして、その女性に出会ったことにより彼は、人の死に直面した時日の光が射すことを不思議に思うことは無くなった。彼はその女性によって心を変えられたのである。また、その女性も彼との出会いによって心を変えられる。そして主人公たちは、お互いに出会ったときの表情から笑顔が増えていく。
     この作品は、今までに読んできた作品とは違う独特な雰囲気がある。また、私たちが送っている普通の生活には無い感情が描かれているため読んでいて難しく感じてしまうが、今までの人生には無かった感情なのでとても新鮮で面白い。

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著者プロフィール

1890(明治23)年、福岡県朝倉郡福田村(現・朝倉市)に生まれる。1915年、東京帝国大学卒業後、明治大学、法政大学などで教授を務めた。また、1921年ごろから子供のための短編を書いて赤い鳥社などから出版社、100以上のおとぎ話を残した。有名な学者、フランス文学の翻訳者としても知られ、訳書に「レ・ミゼラブル」「ジャン・クリストフ」などがある。1955(昭和30)年、永眠。

「2018年 『豊島与志雄短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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