日本文化私観 [青空文庫]

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感想・レビュー・書評

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  • 私は、始めて書評を書きました。その為、所どころ気になる部分はあるかも知れませんが、大目に見て欲しいです。


    ☆本の紹介☆

    題名:日本文化私観

    著者:坂口安吾

    出版社:文体社

    初版発行日:1943年(昭和18)年12月5日


    ☆坂口安吾について☆

    生年:1906年10月20日

    没年:1955年2月17日

    本名:坂口炳五

    出身地:新潟市西大畑町

    学歴:東洋大学印度哲学科

    代表作:「白痴」、「桜の森の満開の下」など


    ☆「日本文化私観」で注目すべき節☆

    「見たところのスマートだけでは、真に美なる物とはなり得ない。すべては、実質の問題だ。美しさのための美しさは率直でなく、結局、本当の物ではないのである。要するに、空虚なのだ。そうして、空虚なものは、その真実のものによって人を打つことは決してなく、詮ずるところ、有っても無くても構わない代物である。法隆寺も平等院も焼けてしまって一向に困らぬ。必要ならば、法隆寺をとりこわして停車場をつくるがいい。我が民族の光輝ある文化や伝統は、そのことによって決して亡びはしないのである。」


     ☆見解☆
     
     著者の坂口安吾は、「真に必要なことであるか」と何度も問いただしてきます。注目すべき一節の何段落か前に、「僕の仕事である文字が、全く、それと同じことだ。美しく見せるための一行があってもならぬ。美は、特に美を意識成された所からは生まれてこない。どうしても書かねばならぬこと、書く必要のあること、ただ、そのやむべからざる必要にのみ応じて、書きつくされなければならぬ。ただ「必要」であり、一も二も百も、終始一貫ただ「必要」のみ。そうして、この「やむべからざる実質」がもとめた所の独自の形態が、美を生むのだ。実質からの要求を外れ、美的とか詩的という立場に立って一本の柱を立てても、それは、もう、たわいもない細工物になってしまう。これが、散文の精神であり、小説の真骨頂である。そうして、同時に、あらゆる芸術の大道なのだ。」と書かれています。これらを通して筆者は、昔ばかり振り返ることが重要なのではなく、現代が最も重要だと言いたいのだと考えました。

    ※有名な一節ではないかもしれませんが、私は、上記の1節を注目すべきだと思いました。


     ☆感想☆
     
    「日本文化私観」は、主に、建築に関する筆者の主張が書かれています。人物や建築、歴史などの知識をある程度持っておかなければ、読んで理解することが難しいです。私は、筆者が言いたいことを理解するために、何度か辞書を使いました。また、私は、建築物が好きなのですが、この本を読み進めていくと、こういう考えがあったのか、なるほど、と納得させられてしまう箇所が幾つも登場しました。読みやすい本では無いですが、日本人が忘れている、本来の重要な考え方を教えてくれる一冊です。是非、読んでみて下さい。
    __________
    1)坂口安吾「図書カード:日本文化私観」
    https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/card42625.html> 参照 2024/07/21.

    2)日本近代文学大辞典「坂口安吾」
    https://japanknowledge.com/lib/display/?lid=522101000002107>参照 2024/07/21.

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著者プロフィール

1906年生まれ、1955年没。太平洋戦前から戦後に活躍した小説家。代表作に『堕落論』『白痴』『桜の森の満開の下』等。

「2024年 『青鬼の褌を洗う女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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