感想・レビュー・書評
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リズミカルで和やかな文体の中、人物達が次々不幸に見舞われていく。お君ちゃんは可愛くて「私はどないでもよろしおま」が口癖で流されがちなところがあるけど、そんな女性が酷い目に合うのがこう、作者の性癖の発露を見るようだ。辛かったよね?作者が。その辛さは豹一が歪むことで表現される。
物語開始早々に死んだ軽部と若くして病を得た息子の豹一。運命はループするのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お君はとても健気だ。それでもって「自分」を持たず、他人のために何でも尽くす。自己犠牲的な女性。妻としては理想とされていたタイプ。
その子ども、豹一は自己嫌悪的な不良少年。嫌悪していることを己も行うことでさらに自己嫌悪に陥るタイプ。退廃的というかなんというか。紀代子とのかかわりはとても美しかった。
最後、雨の描写は豹一とお君のこれからを暗示させる。たぶん明るくない。
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著者プロフィール
織田作之助の作品





