恋愛論 [青空文庫]

  • 青空文庫 (2009年3月16日発売)
  • 新字新仮名
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青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • この本は、昭和期に作られたものであり、自由に恋愛をすることができなかった、そもそも恋愛という言葉が浸透していなかった明治時期以前から、昭和に入り自分の自由に恋愛ができるようになり始めたときに書かれたエッセイである。作者坂口安吾自身が恋愛の最中に書いたであろうこの作品は当時の著者の恋愛観に直接触れることができるものとなっている。この本は、「恋愛とはいかなるものか、私はよく知らない。そのいかなるものであるかを、一生の文学に探し続けているようなものなのだから。」という一説から始まる。この一説から作者安吾自身も“恋愛”に関してよくわかっていないことがわかる。「恋愛論」というタイトルなのに作者もよくわかってないのか、とはじめは疑問に思ったが、読んでいく中で“恋愛”は難しいものであることがわかった。安吾自身が恋愛に関してよくわかっていないからこそ、ただただ安吾の考えを押し付けるのではなく宗教的な考えや海外の視点、日本語と英語の表現の違いなども取り入れ、様々な視点から深く答えのない“恋愛”について考察しているとても興味深い本となっている。私がこの本を読み印象に残った一説は「私は妻ある男が、良人ある女が、恋をしてはいけないなどとは考えていない。」と一説である。簡単にまとめると作者安吾は浮気を肯定しているのだ。昭和時代はすでに浮気=悪みたいな考え方があったと思うが、それでも肯定派の安吾は周りに流されず自分の考えを持っていたことがわかる。私はこの文に賛成できないが、この文は安吾が芯のある人間であったことがわかるとても面白い一説だ。私は恋愛が人生の中でとても大切なものであることがこの本を読み理解することができた。「恋愛は、人生の花であります。」と安吾がこの本の最後で述べているように人生に彩を与える大切なものなのだ。私はエッセイを普段読まないが、この本を読み小説違い様々な人の考え方を知ることができるとても面白いジャンルだなと感じた。私はこの作品を1人が書いた作品なのになぜかさまざまな人が書いたように感じることができた。これから読む人はさまざまな視点に注目し読んでもらいたい。安吾の独特な恋愛観に興味を持った方、恋愛に悩んだ方はぜひこの作品を読んでもらいたい。

  •  「愛」と「恋」の違いってなんですかと聞かれると、はっきりとした違いが言い出せないのに、でも性質って違うよなって感覚はある(自分だけ?)。そこから恋愛の意味まで話が広がる。人生一度きりの恋とか、運命的出会いとかそういうキラキラした「恋愛」って、冷静に本当に冷たい目で見れば、失われた恋も今現在進行形の恋も全部等価で、気持ち次第じゃないですかって言える。思い出フィルタってやつですかね。
     n回恋愛したって、一度きりの恋愛で結婚したって、結婚した後サツバツとした空気になったって、人生やっぱり恋愛って必要要素(その恋愛がどんな形であれ)なんだっていうのはおもしろい。読み返すたびに思うところが変わるかもしれない。

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著者プロフィール

1906年生まれ、1955年没。太平洋戦前から戦後に活躍した小説家。代表作に『堕落論』『白痴』『桜の森の満開の下』等。

「2024年 『青鬼の褌を洗う女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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