狂人日記 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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本棚登録 : 19
レビュー : 4
  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 混乱。「最初の作品だからところどころ稚拙」なんて論評あるけど、だからいいんじゃないか!元祖「ドグラ・マグラ」。このレベルの狂気が全快するもんなの?だから、治ってない「オレサマ」を、アニキは役人としてつかわすよう、コネ按排しちゃったんだろな。ってとこにも問題ありだ、っていうわけでしょうね。

  • カニバリズムの妄想の話。
    主人公の感情の表現が独特で引き込まれた。

  • ・歴史でも文学でも、日本の学校教育ではややもするとタイトル(年号と事件、作者と題名)だけ、覚えることになりがちだった。
    ・そんなわけで、魯迅の狂人日記も、作者と題名は知っていたが、じっくり読んだのは今回が初めてだ。
    ・小生もこれまでいわゆる狂人といわれる人に会ったりかかわったことは何度かある。狂人にはいくつかのパターンがある。まず、プレッシャーに押しつぶされて本人の精神的な限界を超えてしまった場合があげられる。このパターンは優しすぎる人、まじめ過ぎる人、頭の良すぎる人に多い。会社の営業ノルマなど期待に応えきれなかったり、学問や研究、運動などで、周囲の期待どおりの成果が出せなかったりすると、自殺するか自己防御本能で狂うようだ。この場合、通常は普通の生活をしていて時たま狂った状況を呈する場合もある。学生の頃、アルバイト先でいっしょだったA君は、時たま自分の部屋の机を移動させていた。そして、世の中に大きな事件が起こると、自分が机をここに動かしたために起ったと真剣に説明するのであった。そして、その事件の背景や実情についてもよく勉強していて理解していた。戦場などで狂うのもこのパターンの人だ。いわば、このパターンで狂う人の方が人間として正常なのかもしれない。
    ・次に多いのが依存症で狂うパターンだ。麻薬やアルコール、ギャンブルなど。いろいろな依存パターンがある。女狂いもこのパターンだ。中学時代の理科の教師がまさにこれだった。とても熱心でいい先生だったが、ある日、芸者に惚れてしまい、授業中も窓から外を眺めてぼんやりしていることが多かった。生徒会の役員であった小生などが、先生の交代を画策したことがあったが、他の先生(教員組合の幹部の先生だったのだろう)が我が家に来て、なんとか穏便にと哀願された。そんなわけで、先生の授業は、ほとんど、自習状態であったがやめさせられないで済んだ。父兄達も先生に同情的だった気がする。先生はその後、別の女性と結婚したが、病状は一進一退を繰り返していたようだ。同窓会にも恩師として何回か出ていただいたが、残念ながら若くして亡くなられた。そんな先生の授業であったが、我々生徒はかえって一所懸命に自習したので、理科の成績が特段悪くなったという記憶がない。今となっては、人生の何かを暗に教えてくれた特筆すべき大切な恩師である。
    ・亡妻の知人のBさんは、卓越した腕前をもつ板前で、弟子も多くいたが、アルコール依存症で苦しんだ。男の子が2人おり、杉並に一軒家も構えていた。職業がらアルコールを完全に断つのは難しかった。禁酒していても、一度酒を口にするともう歯止めがかからなくなる。薬物依存と同じで、妄想が頭の中を駆け巡る。虫が出てくるといっては、押入れの中のものを引き出すは、火が燃えてるといって、家中に水をまくような異常な行動が激化する。彼の奥さんからの電話で妻と2人で、彼の家に駆けつけた。妻は状況を見てかねて準備していた病院に通報、黄色い救急車に載せられてそのまま入院させた。車に乗せる時も、病院に向かう途中も、彼は、悪い人にさらわれる!助けてくれ!と叫び続けた。入院して1週間もするとアルコールが完全に抜けてしまうので正常にもどる。すると、周りは狂人ばかりであり、正常な自分がそこにいることが耐えられなくなる。私達が面会に行くと、もう決して酒は飲まないので早く出してくれとせがむ。病院では、精力減退茶を毎日飲まされるのだと薬缶に入れたお茶を勧められて飲んでみた記憶がある。この種の病院は本人の希望では退院できなくて、家族の同意が必要だったが、妻は、奥さんに、簡単には出さないようにクギをさしていた。そんなことが何回か繰り返された。その彼も50歳前後で亡くなった。
    ・次いで多いのが強いショックで狂う場合だ。子供や親を亡くしたり、失恋したり、会社が倒産したり、火事や災害にあった時に、精神的に耐え切れなくなって狂うことがある。この場合の人もナイーブでまじめな人が多い。乳母車に大きなぬいぐるみを乗せて毎日、長距離を黙々歩いている老婆がいる。彼女はお子さんでも亡くして狂ったのしょうかと、近隣の人に聞くと、実は彼女は学校の先生をしていたが、旦那に浮気をされたのが原因で狂ったのだという。寒い日でも暑い日でも黙々と歩き続けるので身体はいたって丈夫で元気なのだそうだ。頭の中は今でも新婚時代の思い出がいっぱい詰まったままなのであろう。案外、本人は幸せなのかもしれない。
    ・宗教団体や政治結社、ヤクザ組織、右翼組織などでの洗脳状態も、狂人の範疇に入れていいのかもしれない。戦争やテロなども狂人化しないと出来ない。
    ・アルツハイマーや痴呆症など加齢などによる脳の病気により狂う場合もある。人格が変ってしまい、家族は大変な思いをする。映画化されている事例もある。
    ・このほか、芸術家や研究者などにも変人か狂人に近い人が少なくない。
    ・狂人から見たら、一般人の方が変なのかもしれない。いろいろな狂人から見た日記を読みたいものだ。狂人日記は文学の1ジャンルになりうるかもしれない。
    ・そういえば、「日本の常識は世界の非常識」といっていた評論家の竹村氏はお元気なのかしら。彼の言い回しに習えば「狂人の常識は常人の非常識」なのかもしれない。狂人のワールドの方が正しい場合もありうる。

  • 自分の周囲にいる人間が皆食人の習慣を持っており、隙あらば自分を食おうと企んでいるのだという妄想を抱いた男の日記。冒頭で語り手は、日記を書いた本人はすっかり全快して、余所の街に出仕したと聞かされたと書いているが、証左が何もない事を思って深読みすると、ちょっとヒヤリ。まあどう読んでも統合失調症なので、そう簡単には治らないと思うけど、実は本当に喰われているのかもと考えると途端にサイコホラー。

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著者プロフィール

本名、周樹人。1881年、浙江省紹興生まれ。官僚の家柄であったが、21歳のとき日本へ留学したのち、革新思想に目覚め、清朝による異民族支配を一貫して批判。27歳で帰国し、教職の傍ら、鋭い現実認識と強い民衆愛に基づいた文筆活動を展開。1936年、上海で病死。被圧迫民族の生んだ思想・文学の最高峰としてあまねく評価を得ている。著書に、『狂人日記』『阿Q正伝』『故郷』など多数。

「2018年 『阿Q正伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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