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青空文庫 ・電子書籍
感想・レビュー・書評
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あの石川啄木ならきっとこういうことを考えずにはいられなかったのだろう。そんな気がする。歌では決してないが、同じ彼の文体というものがたしかにここに在る。
満足と不満足を繰り返すように生まれてきてしまったのだから、仕方ない。生まれたものは必ず死ぬのだから、ああこうしてもしょうがない。死ぬときは死ぬ。歌も同じだ。
だが、歌というものはことばで生きている。だから、ことばが死なぬ限り、歌が死ぬことはない。では、ことばが死ぬときはいつか。ひとが何も言えなくなってしまった時だ。おおよそ、ものを言い続ける限り、歌は死なぬ。なんだこれは。Aの絶望。
では、このものを言い続けるこの「おれ」とは一体何なのだ。ことば以前の存在に出くわす。それこそ、おれの愛する自分(いのち)というものだ。けれど、そこへ還ることはできない。やっぱり腹がすけば食いたくなるものだからだ。
おそらく書けなかったに違いない。書けないからこそ、石川啄木は歌うしかないのだ。この不条理に彼はひたすら歌で反抗し続けた。そこに、永遠などない。ただすぎゆくものをとらえる、概念の点としての自分があるだけだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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