感想・レビュー・書評
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主に中毒・依存に焦点を絞り、戦後日本人の心理を包み隠さず描いている。まさに狂乱の時代であり、人々は何かに中毒・依存せねばやってられなかったのだろう、宗教然り、薬物然り。
しかし、戦後日本だけでなくても、ここに描かれていることになんらかの普遍性が有ることを感ぜずにはいられなかった。今、2019年2月の日本は、いつ戦後のような狂乱の時代に突入してもおかしくはないほど不安定であり、したがってここに描かれている内容に共感できる現代人も多いであろう。
宗教・薬物はその身を潜めているが、今の大企業なんてのも、ほとんど宗教である。社長は教祖であり、社員は信者。野球に関しては、今も昔も同じであるが、ソレに加え、インターネットを筆頭にSNS・テレビゲーム等の、中毒者が続出するメディアが続々生まれてきた。現代人には立ち止まって、周りを見れるほどの余裕がなくなっている。
「美とは何ぞや、ということが分ると、精神病は相当抑えることができる」
この一文に、氏の一種の真理を読み取った。現代においても、これが分っていない人間が多い、多すぎる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めの方のヒロポンの話は、ただ、へぇーという感じだったが、途中、睡眠薬の話になってから、俄然面白くなった。
依存とか中毒の話に限定しても十分面白いのだが、集団心理とか、友達についてとか、含蓄溢れまくり(^^)。
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