感想・レビュー・書評
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いわゆる近代における、俊寛作品の先駆け。
平家物語で語られる俊寛の姿を戯曲にしたもの。
平家物語からあまり外れることなく、その悲劇性をあますところなく描く。
人の気持ちなんていつだって不確か。神に誓った言葉さえも簡単に反故にする。そのくせ信仰心は人一倍あるのだという。
基安とのやり取りも、なんだかやるせない。すがる俊寛の手を打たせた心はとても苦しかっただろう。それでも仕事をきちんとこなさなければならない。慣れているような口ぶりであったが、何に慣れろというのか。苦しかったに違いない。
俊寛の死は確かなものがない。『愚管抄』の記述から考えると、赦す前に亡くなっていた可能性もある。伝承によれば、九州まで行くことが出来たというものさえある。それでも、都から遠く離れた土地で感じた俊寛の心のリアリティは変わらない。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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