学者アラムハラドの見た着物 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 見事なまでに未完なため、今まで宮沢賢治の作品だと知らなかった。
    よく彼の理念は法華経だとか、自己犠牲的だとかいわれるけれど、そんな小さなものではないということに気付かされる。
    彼は確かに法華経に帰依していたし、自己犠牲の物語も残している。けれどもそれを美として、賞賛しているのではない。そうせざるを得なかったから、そうしてしまった。それは彼が善く生きるために。あくまでも、善く生きるための手段に過ぎない。自己犠牲や法華経が目的ではなかったはずだ。
    感じる心の豊かな彼にとって、そこに気付くまで、ずいぶんと苦労を重ねたはずだ。ある時は農民とともに貧しい暮らしに自ら身を置き、ある時はたったひとりの理解者を亡くし…
    この作品がいったいどういう過程で生まれたものかはわからない。真理の前にはわかる必要もない。それでも、彼が未完にしてしまったのは、ひとえに存在の謎、真理がことばという論理で描き出せないという深淵をのぞいてしまったからのように感じる。これをひとつの作品として完成させるには、彼の生きた時間はあまりに短すぎた。

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著者プロフィール

1896年、岩手県花巻生れ。盛岡高等農林学校卒。富商の長男。日蓮宗徒。1921年から5年間、花巻農学校教諭。中 学時代からの山野跋渉が、彼の文学の礎となった。教え子との交流を通じ岩手県農民の現実を知り、羅須地人協会を設立、農業技術指導、レコードコンサートの 開催など、農民の生活向上をめざし粉骨砕身するが、理想かなわぬまま過労で肺結核が悪化、最後の5年は病床で、作品の創作や改稿を行った。1933年没。

「2020年 『春と修羅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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