鰻に呪われた男 [青空文庫]

  • 青空文庫 (2006年12月6日発売)
  • 新字新仮名
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  • 昨日が土用の牛ということで、岡本綺堂の鰻の小説を読む。
    綺堂によると「昔から鰻の怪を説いたものは多い」とのこと。(「魚妖」)

    「魚妖」のほうは、大鰻を殺して呪われる、という話。
    夜中に生簀(いけす)をのぞくと
    「沢山のうなぎは蛇のやうに頭をあげて、一度にかれを睨んだ。」
    とか、焼いた大鰻が死体を焼いたような匂い、となんともゾッとするがわかりやすい怪談。

    一方、こちらの「鰻に呪われた男」は、綺堂らしいオチのない宙ぶらりんなイヤーな感じはあるが、「生の鰻を食べる」という生理的な気持ち悪さの怖さである。
    決して、細かい描写があるわけでないが、男が釣った鰻をそのままむしゃむしゃ食べる、これだけで怖い。本当に怖い。
    最後は、
    「別に奇談でもなく、怪談でもなく、単にわたくしがそういう変態の夫を持ったというに過ぎないことになるのでございますが…、」
    と異嗜性(いしせい)のため、としているけど、やっぱり怖い。

    鰻といえば映画「ブリキの太鼓」も強烈。海から引き上げた馬の頭(牛?)の眼孔やら口からデロデロと鰻が出てくるシーン、これにはゾッとした。

    ちなみに鰻は蒲焼よりも白焼き。関東風より関西風。

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著者プロフィール

(おかもと・きどう)1872~1939
東京生まれ。幼少時から父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。中学卒業後、新聞、雑誌の記者として働きながら戯曲の執筆を始め、1902年、岡鬼太郎と合作した『金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこうわさのたかなみ)』が初の上演作品となる。1911年、二代目市川左團次のために書いた『修禅寺物語』が出世作となり、以降、『鳥辺山心中』、『番町皿屋敷』など左團次のために七十数篇の戯曲を執筆する。1917年、捕物帳の嚆矢となる「半七捕物帳」を発表、1937年まで68作を書き継ぐ人気シリーズとなる。怪談にも造詣が深く、連作集『三浦老人昔話』、『青蛙堂鬼談』などは、類型を脱した新時代の怪談として評価も高い。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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