江戸柳橋の牛騒動を元にした講談文芸。牛と新年と芸妓の三題話で、ご老人の軽快な語り口と暴れ牛の道中を楽しむ物語です。
ネタバレになりますが、牛騒動で名を上げた芸妓が、最後は夜盗崩れの男と深い仲になってお縄になったところで「これで小雛(芸妓)が丑年の生まれだと、いよいよ因縁話になるのだが、実録はそう都合よくゆかない。」と話が結ばれます。
物語の冒頭で牛と縁を持った芸妓が、最後には「丑年の生まれ(ではない)」「因縁話(ではない)」と書かれるあたり、「馬の骨」と同義の「牛の骨」の男と縁を持ったことによる「因縁話」なのでしょう。さらに、熊吉と付き合っている頃、芸妓と牛とは良縁だったと解釈すれば、落ちが深いです。