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青空文庫 ・電子書籍
感想・レビュー・書評
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戦前の東京を舞台に怪しい輩が跳梁跋扈する題名どおりの内容。
もともと「新青年」での連載で、毎回講談っぽく作者の語りから始まるのがなかなか癖になるところでやんす。
前半あんまりのめり込めなかったけど、真名子警部が動き出す中盤から一気に引き込まれたです。このあたりから作者の独白にもあるとおり、個性豊かなキャラクター達が自由奔放に動きまくってる感じがとてもいいです。
その分、後半は駆け足で物語をたたんだ感がちょっと物足りなかったなぁ。
特に早々に作者に「後で死ぬ」ことバラされちゃう、新聞記者・古市加十君の最期があっさりでかわいそうすぎる…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大正期に広がりと高みを見せた大衆文学は昭和初期に爛熟します。
「魔都」はこの時期に生まれた傑作です。
昭和9年の大晦日から元旦までの24時間の出来事と設定を縛り、講談調で語られる物語は疾走する勢いで千変万化します。舞台である帝都東京はラビリンスの観を呈し、登場する男や美女たちは、多面性があり得体がしれません。
既に満州事変から3年、先年には国際連盟から脱退するなど、時代は不穏な空気を孕んでいますが、文化的には明治以来の頂点をここに迎えます。
これほどの小説が、青空文庫で気軽に手に入るとは、幸せなことです。 -
基本は探偵小説であるけれども、都市を蠢くエネルギーと言いますか、そこへプラスアルファ何とも言えない『モノ』が含まれてますね。
二転三転する話に苦笑しつつも、都市小説的な面白さ、ラストのあの展開と、これは何度も繰り返して読んで、あえてこの物語の世界で翻弄されたい楽しみ方をしたい作品でした。
著者プロフィール
久生十蘭の作品





