魔都 [青空文庫]

  • 青空文庫 (2012年12月31日発売)
  • 新字新仮名
4.00
  • (1)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 8
感想 : 3
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦前の東京を舞台に怪しい輩が跳梁跋扈する題名どおりの内容。
    もともと「新青年」での連載で、毎回講談っぽく作者の語りから始まるのがなかなか癖になるところでやんす。
    前半あんまりのめり込めなかったけど、真名子警部が動き出す中盤から一気に引き込まれたです。このあたりから作者の独白にもあるとおり、個性豊かなキャラクター達が自由奔放に動きまくってる感じがとてもいいです。
    その分、後半は駆け足で物語をたたんだ感がちょっと物足りなかったなぁ。
    特に早々に作者に「後で死ぬ」ことバラされちゃう、新聞記者・古市加十君の最期があっさりでかわいそうすぎる…

  • 大正期に広がりと高みを見せた大衆文学は昭和初期に爛熟します。
    「魔都」はこの時期に生まれた傑作です。
    昭和9年の大晦日から元旦までの24時間の出来事と設定を縛り、講談調で語られる物語は疾走する勢いで千変万化します。舞台である帝都東京はラビリンスの観を呈し、登場する男や美女たちは、多面性があり得体がしれません。
    既に満州事変から3年、先年には国際連盟から脱退するなど、時代は不穏な空気を孕んでいますが、文化的には明治以来の頂点をここに迎えます。
    これほどの小説が、青空文庫で気軽に手に入るとは、幸せなことです。

  • 基本は探偵小説であるけれども、都市を蠢くエネルギーと言いますか、そこへプラスアルファ何とも言えない『モノ』が含まれてますね。
    二転三転する話に苦笑しつつも、都市小説的な面白さ、ラストのあの展開と、これは何度も繰り返して読んで、あえてこの物語の世界で翻弄されたい楽しみ方をしたい作品でした。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1902(明治35)年〜1957(昭和32)年、小説家、演出家。
北海道函館区出身。
1920年、函館新聞社に勤務。1922年に演劇集団「素劇会」に参加。
1923年に石川正雄、竹内清、高橋掬太郎らと同人グループ「生社」を結成。詩、小説、戯曲などを発表した。
1928年に上京し、岸田國士に師事。『悲劇喜劇』の編集に従事する。
1929年から1933年までフランスに遊学、レンズ工学や演劇を学ぶ。1936年より久生十蘭名義および様々な筆名を使って作品を発表。同年には明治大学文芸科講師を務める。1937年、岸田が結成した文学座に参加。
1939年『キャラコさん』で第1回新青年読者賞受賞、1952年『鈴木主水』で第26回直木賞受賞。
1957年、食道癌のため逝去。

「2024年 『久生十蘭 玲瓏無惨傑作小説集 アヴオグルの夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

久生十蘭の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×