植物一日一題 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 昨年は日本の植物学の父・牧野富太郎の生誕150年だったとか。それとはつゆ知らず、読んでいた。

    牧野先生が日本の植物・きのこなどについてつづるエッセイ集。学名や図版も揃えられており、「ふむふむ」といろいろもの知りになりながら読みすすめられる。

    そういう雑学面蓄積エッセイ本として楽しめるのはもちろんだけど、実はこのエッセイの肝は、牧野先生の毒舌にあると思っている。

    「こんな間違った名を日常平気で使っているのはおろかな話で、これこそ日本文化の恥辱でなくてなんであろう。(『馬鈴薯』)」

    などは序の口で、

    「この訂正をようしない園芸界の人々に科学的の頭のないのを憐れに思っている。畢竟これは以前にオウトウといえと指導した業者、園芸家ならびに学者の罪である。すなわちこれらの人々が集まって会議しその名をかく呼ぶように仕向けたのは、全く自分達の無学無識ぶりを遺憾なく発揮していて、そして名称を間違えるのは文化の恥だということを悟らないのだ。(『桜桃』)」

    「人に笑われるのが嫌ならカキツバタを杜若と書かぬようにせねばならない。(『紫陽花とアジサイ、燕子花とカキツバタ』)」

    など、もう容赦なさすぎで爆笑ポイント満載である。「牧野先生、ひっでえ!手榴弾投げすぎ!地雷踏みすぎ!」と腹筋震える震える!

    でも、そのように牧野先生が世の草木の呼び名について、口をきわめて罵倒されるのには、

    ・『本草綱目』などの中国の文献に掲載されている植物が、日本で生育しているものと同じとは限らない
    ・ゆえに、混同を避けるためにも、わざわざ漢字を使って書く必要はない。日本の草や木の名は一切カナで書けばよい

    とのお考えがあってのことなので、そこはただの口の悪いじじいのたわごとではなくて、サイエンティストとしてのプライドがきりりと働いているのを感じることができる。もちろん、ご自身の研究成果には自信を持っていらっしゃるけれど、

    「右にて蓬の蓬たるゆえんを知るべきだ。皆の衆聴けよ、この蓬がヨモギだトヨ、我国の学者はトンデモない見当違いをしたもんだ。眼界狭隘しかたもない。しかし大きなことは言わない、お里が分る、実の吾らの知識も罌粟粒のようなもんだから。(『蓬とヨモギ』)」

    とちょこっと謙虚な面(ただしあくまでもちょこっと)も持ち合わせ、

    「あんまりにアラを捜せば無風流(『マコモの中でアヤメ咲く』)」

    ともやられるので、憎めないんだなあ、これが。しかも読了後にバイオグラフィなど検索したら、若かりし日の牧野先生がちょっとイケメンでびっくりした!

    • daishi100さん
      たまたま調べものをしていて、青空文庫のこの本を見つけ、読んでいました。さらに青空文庫がブクログとリンクをしているのに気づき、貴レビューにたど...
      たまたま調べものをしていて、青空文庫のこの本を見つけ、読んでいました。さらに青空文庫がブクログとリンクをしているのに気づき、貴レビューにたどり着きました。
      確かに毒舌っぷりが楽しいですね。
      2014/03/31
    • Pipo@ひねもす縁側さん
      初めまして。お運びいただき、ありがとうございます。

      牧野先生の一般向けの著作は、確固たる研究の成果に裏付けられていながら洒脱な書きっぷ...
      初めまして。お運びいただき、ありがとうございます。

      牧野先生の一般向けの著作は、確固たる研究の成果に裏付けられていながら洒脱な書きっぷりと、ある種の大人げなさもあるのか、読んでいて飽きませんね。私もスマートフォンに入れたまま、ときどき読み返してふふふと笑っています。
      2014/03/31
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