長年犯罪者を裁き続けてきた尊敬すべき判事、その死後発見された日記には、彼の殺人への興味と、その実行が書かれていた
日記の内容が主ということで、独白で進行するのは、勢いのある流れを産み出していて成功している。原文ではどのようになっているのだろうと興味を持った。
この話では人殺しの快楽というテーマは見事に文章に描ききられている。小鳥を殺人者の模倣をしながら殺すこと、小さな心臓の気味のよい鼓動。一人の子供を殺すこと、その壮絶な表情。眠る釣り人を鋤で殺すこと、その鮮血の美しさ。
そして最後に無罪を知りながら、あわれな釣りびとの甥を死刑に追い込むこと、その正義の冒涜。
悪趣味なところもあるけども、素晴らしい逸品