銀座 [青空文庫]

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  • 「銀座」 永井荷風
    永井荷風(1879~1959)は、明治36年から約5年間をアメリカとフランスで過ごしている。この時代にいわゆる洋行をした文学者は森鴎外や夏目漱石などが思い浮かぶが、荷風は二人とは違い、銀行勤めをしながらも、殆ど束縛されることなく自由にオペラや演劇を鑑賞してまわったり、気ままに外国暮らしを謳歌していたようである。帰国後に出版した「あめりか物語」や「ふらんす物語」では、そうした体験を情感あふれる文章で表現し、文名を高めている。そして、生涯を通して東京にこだわり、小説や随筆など東京の街に関する作品を多く残している。明治44年に発表された随筆「銀座」は、フロックコオトを着て、帝国ホテル、精養軒、交詢社へ出かけ、有楽座、帝国劇場、歌舞伎などの見物帰りには必ず銀座のビイヤホオルで遅くまで友と語らう作者の日常、また、折々にビルの上に上がって都会の眺望を楽しみながらも、失われつつある江戸の名残を惜しみ、西洋と東洋の文化の交わりに戸惑う様子が書かれている。氏は言う、「日本の十年間は西洋の一世紀にも相当する」と。小粋で鋭い観察眼をもったおじさまが、今から約100年前の銀座の様子を聞かせてくれる。こんなおじさまと一緒に銀座の街を歩いたら、どんなに楽しいだろうと思えるエッセイです。

  •  銀座の街並みについて書かれたものだけれど、見下ろす街並みに瓦屋根ってのが今の銀座近くじゃあまりないだろう……。江戸っぽさがどこかに残っているのは今もだけれど、ここからさらに銀座も有楽町も変わっているんだよなあと思うと、その精神だけは変わってないのかもとすら思ってしまう。
     日本の明治期における大変化はまさにその通り。洋行経験のある荷風が思うのだから、当時の人はもっと思ったろうなあ。

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著者プロフィール

永井荷風

一八七九(明治一二)年東京生まれ。一九〇三年より〇八年まで外遊。帰国後『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表。五九(昭和三四)年没。主な作品に『ぼく東綺譚』『断腸亭日乗』がある。

「2020年 『吉原の面影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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