浮浪学生の話 [青空文庫]

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  • 『癩病やみの話』『法王の祈祷』につづく、青空文庫のシュオッブ作品。訳者も上田敏。

    タイトルに「浮浪学生」とあるが、ばっちり教育を受けた神学生というのではないというのに意表を突かれた。ここは意表を突かれるところではないのだろうけれど、学生というのは、読み書きできてなんぼだと思ってしまう世界で育ってしまっているので、ちょっとこれは学生とは認めがたい。得度を受けただけの小僧さんの時点で脱落してしまった人なのだろう。

    でも、平たく言えば、「すごくいい人」なのである。ふと見かけた少年十字軍の一団の困難な旅路を案じつつ、彼らの単純な信仰の強さを感じ、旅の安全と幸福を祈る心根の優しさというか、尊さが美しく描かれていると感じた。

    青空文庫の3作品は題材の関連があり、ひとかたまりで読むのが結構おすすめできると思う。なお、私は作品どうしのつながりを意識せず、ダウンロードした順に『癩病やみの話』→『法王の祈祷』→『浮浪学生の話』と読んでみたんだけど、個人的には、この並びがしっくりくるような気がする。

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