贋物 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 青空文庫 ・電子書籍

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  • 彼は貧困と冬の寒さに苦しんでいると、自分の肢体から抜け出た冷たい亡霊が肩口から自分を覗いてくるというようなことを、言っているが、僕もまさにそんなものを一人でいると感じることがある。つまり言い様のない不安のことだが、自分の亡霊が肩口から……、とは言い得て妙である。
    読みやすいしけっこう好きな作家である。生活の辛苦なども描いているが本人は一向に働く気配もなく、白紙の前に鎮座しているだけなのだから、プロレタリア文学では決してないと思う。

    あらすじ
    東京から青森へ、トルストイの「光ある方へ進め」などを読みつつ、新しい生活に希望を抱きながら帰郷するが、そこで待っていたのは、弟の世話にならずにはいられない苦しい生活と一向に進まぬ筆のみであった。借りたぼろ家で眠れぬ夜を過ごす。最後には弟に東京に明るい兄ならばと、骨董品の売却を頼まれる。気兼ねしていた弟に恩を返せる土あって意気込んで東京に戻るが、鑑定士に頼むとどれも贋物ばかりという。ここで主人公はある疑念にとらわれる。弟は俺を厄介払いしたかったがためにこんなことを頼んだのではないか、と。弟に事情の説明と、帰りの電車賃を催促する手紙を書くが、返事はいつまで経っても返ってこない……。

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