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感想・レビュー・書評
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カフカはこれを朗読しながら始終笑いをこらえていたということなので、人の神経のツボというのはどこにあるもんかわからない
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荒唐無稽な不条理さと妙な現実感のバランスが怖い。
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毒虫になった男が家族に疎んじられていく
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カフカの小説はどれもテーマは同じで、(被)虐待がテーマになっています。
この小説ではもちろん虫はカフカ自身であり、自分が体験したのでなければ書けないような透徹した観察力で持って虐待体験がリアルに描画されています。
キリスト教だって、「自分が犠牲になっても、他人を愛しなさい」と説いているので、もちろん現代にも通じるテーマであります。
東洋ではこの「個人的自己犠牲」の概念は、「目上の人への盲目的服従・奉仕」という儒教的な教えに置き換えられています。
こんなことを考える生き物はヒトだけかもしれません。
しかし昆虫~動物も、食うか食われるかというシビアな世界で、個人的生、というか、集団としての世代を繰り返しています。
皆さんもいつか、「食われて・・・」というと語弊がありますが、消えていく運命にあります。
カフカ(ここでは虫)も、家族によって殺されながらも、家族に愛情を注ぎました。
それによって彼の死が報われた、と考えざるを得ません。 -
一家を愛し一家に愛された長男が、ある朝目覚めると虫になっていたら…。
小説のどこを取っても絵画的だった。
救いようのない内容がそうさせるのかもしれない。
家族の薄情さにがっかりするが、果たしてこれは長男が人でなくなったためだろうか。
虫ではなく、社会的弱者になったのだとしたら?
その場合も同じシナリオになりそうなところがますます恐ろしい。
そうなった時の本人の楽観ともいえる冷静さ、家族の嫌悪という第一印象、そこからの愛すべき家族であると耐える様、我慢の限界、当人が必要とされていないことをしかと受け入れる、
そして彼がいなくなり平穏が新たに始まらんとする。
この短編は、差別の写実だ。
それを虫に置き換えたカフカが変人なのは言うまでもない! -
家庭内に振って湧いた災難.その災難自体である主人公の視点から語られるお話.なんなんだろう.何かを風刺しているようで,そうではないらしい.
現実離れしていてそれでいてリアリティがある.妹の変化なんかには凄さを感じる.これでハッピーエンド,なのか? -
正直、最初読み終わったときには、芋虫の主人公がなんなのか、小説自体何のことを言っているのかさっぱりわからなかった。それから1年くらいして弱者と社会保障についてわかってくると、この主人公が病気や事故で健康に生活できなくなった人の暗喩なのか、と考えると合点がいった。
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・虫に変身した息子を「ひきこもり、イジメにあっている人、重度身障者、末期がん患者、寝たきりの老衰者など」に置き換えると、家族の心情、周りの人々の態度や変化などがよくわかる。今の時代にも通ずる小説だ。
原田義人の作品





