halさんの感想
2013年8月2日
死の床に瀕した病人のたっての願いで、その枕元を見舞う作家。病人は作家に、健康な頃に出会った美しい姉妹の話と、その後の怪異を語る。 タイトルからして怪異譚だと思って読んでいたら全くその通りで、ありがちな捻りもどんでん返しもなくて逆に驚いた。タイトルから受ける印象そのままの、ある意味素直な話だった。山奥の邸宅とその周辺の描写は秀逸。マヤカンを舞台に映像化して欲しい。無理だけど。
橘外男 一八九四年、石川県に生まれる。厳格な軍人の家庭に育ったが中学を退学、札幌の叔父に預けられる。その後、医療器機店、書籍配給会社などの職を転々。一九二二年、有島武郎の推挽を受けた『太陽の沈みゆく時』でデビューし、ベストセラーとなる。三六年「酒場ルーレット紛擾記」で『文藝春秋』の実話募集に入選し再デビュー。三八年「ナリン殿下への回想」で第七回直木賞を受賞。五九年死去。作品に『陰獣トリステサ』『青白き裸女群像』『私は前科者である』等がある。 「2023年 『橘外男海外伝奇集 人を呼ぶ湖』 で使われていた紹介文から引用しています。」